2012 Fiscal Year Annual Research Report
空間非一様な外力の影響下における反応拡散方程式系の爆発解の冪行列による分類
Project/Area Number |
23740129
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山内 雄介 早稲田大学, 重点領域研究機構, 次席研究員 (00451435)
|
Keywords | 解の爆発 / 非線形偏微分方程式 / 反応拡散方程式 |
Research Abstract |
時間発展する偏微分方程式における解の発散、いわゆる爆発現象は、解および現象の不安定さを表すものである。熱伝導方程式における発火、波動方程式における波の崩壊を意味するこの爆発現象は、数理物理に現れる偏微分方程式における重要な研究対象である。本研究では、以下の2点について主に解明した。 (1) 反応拡散方程式系の解の爆発条件の冪行列による解析。3本の方程式からなる方程式の解の爆発条件を、それぞれの方程式の有する非線型性を代数的に捉えた正方行列「冪行列」を用いて書き表した。1本1本の方程式の性質は優線型・劣線型の2つに大別されるが、解析の際には3本の方程式のうちの優線型方程式の本数による4つの場合分けを行った。これらの4つのうち、優線型方程式が1本、2本、3本の場合における爆発条件の解明に成功した。手法は、解そのものではなくその積分量を解析するいわゆるカプラン法と、解の比較原理を合わせ、それぞれの場合分けに適用すべく改良した。また、これらの方法を応用することで、3本とも劣線型方程式の場合の爆発条件も解明されつつある。 (2) 反応拡散方程式の解の爆発時刻の解析。上記(1)における非線型効果を解析する上で重要な、空間遠方で減衰をしない初期状態に対する爆発解の爆発時刻の情報を引き出すことに成功した。その解析に用いた手法は、解が空間遠方において爆発を引き起こす場合に非常に有用であり、特に初期状態が一方向における空間遠方でその最大値となっている場合には、爆発時刻の同定にも成功した。 (1)のような冪行列による爆発解析は初めての試みであった。これにより、本数の多い連立方程式に対する煩雑な爆発解析を簡潔に書き表すことが期待される。複雑な構造を持つ連立方程式系の中で、爆発を引き起こす要因やメカニズムを見出す助けとなるという点で、重要かつ有意義なものである。
|
Research Products
(5 results)