2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740130
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
平田 潤 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (10580483)
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Keywords | 変分法 / 微分方程式 |
Research Abstract |
シュレディンガー方程式の定常問題などに代表される、非線型楕円型方程式の研究を行った。とくに変分的なアプローチを用いることで、より一般的な条件のもとでの非線型楕円型方程式の非自明解の存在問題や、解の挙動を調べることを目的としている。 なかでも方程式が空間変数に依存する場合には、依存しない場合と比べてデリケートな問題を含んでいる。例えば、空間変数に依存しない場合の非線型楕円型方程式に関しては、Berestycki-Lions などによる先行研究により、非自明解が存在するためのほとんど必要十分条件が知られているが、一方でそのような良い条件のもとでも、方程式が空間変数に依存するような摂動を与えた場合、それがわずかなものであっても、方程式が非自明解を持たない例を作ることができる。このような背景のため、方程式が空間変数に依存する場合には非自明解の存在問題はまだあまり詳しく調べられていない。 本研究では、空間変数に依存する非線型楕円型方程式の非自明解の存在問題を主に扱い、一般的な状況のもとで非自明解の存在を示すことを目的としている。中でも非線型楕円型方程式の一種であるシュレディンガータイプの方程式に関しては、ポテンシャル項の極限での挙動に注目し、大域的な条件を課すことなく非自明解の存在を示すことに成功している。この際に、先行する研究よりもより精密なエネルギー評価を与える方法を新たに提案しており、変分的なアプローチをする上で大きく役立っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非線型楕円型方程式の非自明解の存在問題においては、方程式が空間変数に依存する場合とそうでない場合において大きな違いがあり、空間変数に依存する場合の非自明解の存在問題は非常にデリケートな扱いを要する。 空間変数に依存しない非線型楕円型方程式に関しては、ほとんど必要十分条件に近い形で非自明解の存在条件が知られている。本研究では、空間変数に依存する方程式に関しても同様な条件を示すことを目標の1つとしており、これまでに対称性などの条件のもとに、既存の結果を上回る形で非自明解の存在を示すことができるなど、着実に目標に向かって進展している。 また対称性など大域的な条件を課さない場合についても研究を進めており、4年計画の2年目としておおむね順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き非線型楕円型方程式の非自明解の存在問題およびその解の挙動についての研究を行う。中でも、これまでの研究をさらに推し進め、空間変数に依存する場合に、既存のものよりもさらに一般的な条件のもとで非自明解の存在定理を得ることを目標とする。 また、その研究をもとに発展課題として、特異摂動問題やシステムの問題にも取り組んでいくことを計画している。 これらの研究を進めるため、文献などで情報を得るとともに、国内外の研究者から最新の情報を得るために研究集会の参加などが必要となる。また、方程式の解の挙動を調べるために数値計算などが必要となることが考えられるため、高性能のコンピュータの利用なども計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では専門知識を必要とするため、洋書などの専門書の購入や最新の論文を入手するために研究費を使用することを計画している。 また最新の情報を手に入れるとともに、国内外の研究者との交流をするために研究集会への参加も計画している。 さらに数値計算などを行うためにコンピュータおよびソフトウェアの購入も計画している。
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