2013 Fiscal Year Annual Research Report
空間非斉次性をもつ双安定反応拡散方程式系の局在パターンのダイナミクスに関する研究
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23740137
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Research Institution | Numazu National College of Technology |
Principal Investigator |
松澤 寛 沼津工業高等専門学校, 教養科, 准教授 (80413780)
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Keywords | 反応拡散方程式 / 自由境界問題 / spreading speed |
Research Abstract |
反応拡散方程式のパターンの伝播に関する研究について,近年外来生物種の侵入のモデルを自由境界問題として定式化しその解の漸近挙動を調べる研究が活発化しつつある。このことを受け,平成23年度後半にこの自由境界問題とそれに関連する文献調査,情報収集を行った。平成24年度はこの生物外来種の侵略問題に端を発する自由境界問題について取り組んだ。 非線形項が単安定,双安定,燃焼問題に表れる燃焼型と3つのタイプの場合,主として外来種が全領域に広がる現象に対応するspreadingと外来種が有限の範囲までしか広がらず, 次第に死滅していくvanishingという現象の2通りが起こることがDu教授とLou教授によって示された。その結果において, Du教授(University of New England, オーストラリア)とともに, spreadingが起こる, つまり自由境界を表す関数が無限大に発散する場合,自由境界の進行速度(spreading speed)に関する詳しい評価と解の時間無限大での形状が,非線形項のみから定まる関数に近づくことを証明することができた。この研究を行うに当たり,この自由境界問題を専門とする研究者を別予算で長期滞在する機会を得たため,予定を大幅に変更し,平成24年度に交付された予算を次年度に繰り越すことになった。平成25年度はDu教授との共同研究を高次元球対称の問題へ拡張した。また, Lou教授(同済大学, 上海)らが移流項を含む方程式で同様の自由境界問題が研究されていることを受け、研究代表者は兼子氏(早稲田大学)との共同研究により,移流項を含む場合もspreading speedの詳しい評価を得ることができることを証明した。その際,上海のLou教授を訪問し,情報収集を行った。今後,特に中国との研究交流を活発化し,自由境界問題の未解決の問題を取り扱っていく予定である。
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