2012 Fiscal Year Annual Research Report
次世代多天体補償光学系に向けたトモグラフィック波面推定の高速化、高精度化
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23740140
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秋山 正幸 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50425401)
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Keywords | 多天体補償光学 / トモグラフィー推定 / 並列計算 |
Research Abstract |
次世代超大型地上望遠鏡での広視野多天体の同時補償光学観測を可能にする大気揺らぎの高さ構造のトモグラフィーを用いた推定について、高精度化と高速度化に重点を置いて新しい手法の適用を行った。高精度化については、これまでに考えられていないアルゴリズムとして大気揺らぎの時間変動が風による大気の移動によって起こることを考慮したアルゴリズムを計算機上でのシミュレーションにより検討した。その結果、上空の風速がある程度精度よくわかり大気揺らぎの構造は移動の間は変動しない、という理想的場合には推定精度を大きく向上させることが可能であることがわかった。実際の観測装置に用いる場合には上空の風速を推定する方法や大気揺らぎ構造の変動の時間スケールを確立する必要があり、この点については今後の検討が必要である。さらに別のアルゴリズムとして大気揺らぎの地表層成分と高層成分を分けて推定を行うアルゴリズムについても計算機上でのシミュレーションを行った。この場合はトモグラフィー推定の精度としてはすべての成分を同時に推定を行った場合と大きな違いはないことがわかった。トモグラフィー推定の高速度化についてはグラフィックボードを用いた並列計算GPGPUを導入したシミュレーションで評価を行った。その結果現状の計算方法ではまだ達成すべき計算時間よりも長い時間がかかってしまうことが判明した。この点については、トモグラフィー推定の際に用いている共役勾配法の収束を良くするために推定の初期値の改良を行う、並列計算の並列数を上げる、などにより達成可能であると見積もっており、今後確認を進める。
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