2011 Fiscal Year Research-status Report
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23740143
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
諸隈 智貴 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (10594674)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 広視野カメラ / 木曽シュミット望遠鏡 / KWFC / すばる望遠鏡 / 超新星 / ショック・ブレイクアウト / 大規模探査 |
Research Abstract |
本研究は、これまでの観測例がほとんどない、超新星爆発直後の現象であるショック・ブレイクアウト現象の検出を目指し、(1) 木曽シュミット望遠鏡超広視野カメラKiso Wide-Field Camera (KWFC)のフィルター交換機構の完成、(2) 木曽シュミット望遠鏡KWFC、およびすばる望遠鏡主焦点広視野カメラSuprime-Cam、次世代超広視野カメラHyper Suprime-Cam (HSC)を用いた系統的な観測を行うことを目的としている。これにより、超新星爆発現象の物理、それを用いた超新星発生頻度、宇宙の星形成史の進化を探るものである。平成23年度は、KWFCフィルター交換機構のフィルターカセットを4枚から12枚へ、さらに空圧制御装置を取り付けた。これにより、産業用ロボットを用いたフィルター交換機構全体としてほぼ完成を迎え、超新星探査の大規模な観測を遂行するために十分な数のフィルターを使用することが可能になった。主に平成23年度下半期に行った試験観測によるKWFCカメラ本体の性能評価において、想定通りの性能を確認し、平成24年4月から共同利用観測へ公開することができた。また、すばる望遠鏡を用いた観測については、平成23年度に行うことはできなかった。平成23年7月2日に発生したすばる望遠鏡での事故により、Suprime-Camが使用不可能になったこと、さらに、HSCの開発がその最終段階において若干の遅延があることが主な原因である。この間、より効率のよい観測計画を検討するとともに、これまでに偶然発見された超新星ショック・ブレイクアウト現象の発生銀河に対して、超新星爆発環境(星形成率、金属量)を調べるため、ウィリアム・ハーシェル望遠鏡を用いて可視分光観測を2012年3月に行い、現在、データを解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
木曽シュミット望遠鏡KWFCに関する開発については、研究業績に記したようにおおむね順調であり、フィルター交換機構を含め、すでに2012年4月1日より共同利用観測装置として全国の研究者に公開されている。交付申請書提出の段階では、SDSS-uバンドフィルターを購入する予定であったが、探査計画や探査効率向上の再検討の結果、観測システム整備(自動観測・遠隔観測へ向けたウェブカメラやその表示ディスプレイ等)へ投資することに変更した。これにより、2012年4月からの観測効率が上がったことをすでに身を以て実感している。すばる望遠鏡での観測については、研究業績に記したように、事故等により実施できていないが、より詳細な観測計画検討や他の望遠鏡での観測を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年4月13日より、木曽シュミット望遠鏡KWFCを用いて、すでに超新星大規模探査観測を開始しており、データ取得やその解析ソフト開発が進行している。すでに観測夜の割当が行われた4-6月期には約20晩の観測を行うことが決まっており、平成24年度1年間で50晩程度の観測を予定している。この探査の中で興味深い超新星が複数天体発見できると期待され、これについて平成24年度中に投稿論文を出版する。また、観測のさらなる効率化のため、望遠鏡や装置の監視システムを整備する予定である。また、すばる望遠鏡での観測については、Suprime-Cam修理完了後、もしくはHSC完成後速やかに探査を開始したいと考えており、観測提案書を練っている段階である。これらの探査観測を元に、超新星ショック・ブレイクアウト現象の初めての可視光での検出を目指す。検出できた際は速やかに投稿論文として出版する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は、木曽シュミット望遠鏡KWFCでの観測の効率化のための機器(ウェブカメラ、ディスプレイ等)購入、その開発のための出張旅費、国内外の研究会・学会での発表のための出張旅費、論文出版費を予定している。特に、観測効率を上げることは、特にKWFCでの大規模探査のような系統的観測にとって、不可欠な開発事項であり、将来の自動観測・遠隔観測を目標に開発を進める必要がある。
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