2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740144
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 賢幸 東京大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (50589207)
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Keywords | 国際研究者交流 |
Research Abstract |
今年度の主な実績は、前年度に発見したz=1.61の銀河群を詳細に調べた論文を出版したこと、ならびにz=2.16にある原始銀河群の解析を大きく進めたことである。前者については、Tanaka et al. PASJ, 2013,65,18として出版され、国際研究会でこの内容に基づいた口頭講演を行い評価を得ている。また、この論文も含めた私の近年の遠方銀河団研究が評価され、2012年度の天文学会研究奨励賞を受賞した。後者に関しては、z=2.16に非常に卓越した銀河の密度超過領域を確認し、その領域を深く近赤外分光観測した。その結果、現在の銀河団の祖先であると思われるこの領域には、すでに星形成を止めた巨大銀河が存在することがわかった。これらの銀河のスペクトルを詳細に調べると、非常に短いタイムスケールで形成されていることが示唆された。これは最新の巨大銀河形成のモデルから予測されるタイムスケールよりも短いようで、将来のシミュレーションに影響を与えるような観測結果である。現在、論文の執筆は最終段階へ来ていて、来年度中には受理されるものと見越している。 その他の実績としては、AEGISと呼ばれるディープフィールドにおいて銀河団探査をし、銀河団カタログを出版した(Erfanianfar, Finoguenov, Tanaka, et al. 2013,ApJ,765,117)。ここでもz~1.5の遠方銀河団候補が発見できた。 また、z=1.5の銀河団候補の電波観測も出版されている(Aravena, Carilli,Salvato,Tanaka, et al. 2012,MNRAS,426,258)。 現在、論文準備中であるが、CFHTLSという有名なサーベイフィールドの銀河団カタログもできている(Mirkazemi, Finoguenov, Tanaka, et al. in prep)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はz=1.61の遠方銀河群の論文が出版され、さらにそのフォローアップ観測をすばるの近赤外多天体分光器を用いて行った。 これは銀河種族をさらに調べる上で非常に有用で、この銀河群に関してはフォローアップ観測は順調と言える。 現在のところ最遠方銀河団候補は見つかっていないが、今後も探査を進めるつもりである。 「今後の研究の推進方策」で述べるように、次の一手も考えてある。 一方で、現在の銀河団の祖先と考えられている原始銀河団の研究も推進している。 これは遠方銀河団探査と非常に相補的であり、遠方銀河団研究の延長として自然である。 現在、論文が投稿直前の段階で、さらなるフォローアップ観測を申請中である。 こういった全体像から、本研究はおおむね順調であると言える。 最遠方銀河団の発見には至っていないが、これは多少の運も必要な部分で、これからも根気強く続けたい。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までは主にX線を用いて遠方銀河団探査をしているが、それと平行して可視・近赤外撮像データから探査するという手法にも手を広げたいと思っている。 これは、すばるの次世代撮像カメラによる大規模サーベイが、25年度の途中から始まることが期待されているからである。 このサーベイは深く広い撮像データを提供し、最遠方銀河団を探す上で理想的なデータとなる。 現在、このデータを用いて遠方銀河団探査をすることを見越し、サーベイ計画に積極的に関わり、銀河団探査のコードをテストし始めている。 今後は、X線を用いた手法と、すばるのサーベイデータを用いた手法の両方を用いて、最遠方銀河団探査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は主に共同研究者との会合や、研究会での発表などの活動に必要な旅費、そして論文出版費に多くが使われる予定である。
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Research Products
(30 results)
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[Journal Article] Measuring the Geometry of the Universe from Weak Gravitational Lensing behind Galaxy Groups in the HST COSMOS Survey2012
Author(s)
Taylor, Massey, Leauthaud, George, Rhodes, Kitching, Capak, Ellis, Finoguenov, Ilbert, Jullo, Kneib, Koekemoer, Scoville, Tanaka
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 749
Pages: article id. 127
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Occupation of X-Ray-selected Galaxy Groups by X-Ray Active Galactic Nuclei2012
Author(s)
Allevato, Finoguenov, Hasinger, Miyaji, Cappelluti, Salvato, Zamorani, Gilli, George, Tanaka, et al.
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 758
Pages: article id. 47
DOI
Peer Reviewed
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