2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23740146
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 剛 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任助教 (20469604)
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Keywords | 電波天文 / 分子雲 / 星形成 / 大質量星 / 重水素 / 星間分子 / ミリ波 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ミリ波サブミリ波帯の分子原子輝線観測によって、分子雲クランプ形成から大質量星形成に至るタイムスケールを観測的に明らかにすることである。野辺山45m望遠鏡を用いた70 GHz帯のDNC輝線と80 GHz帯のHN13C輝線との比較から、大質量星形成初期天体の重水素濃縮度を見積もり、重水素濃縮度が大質量星形成以前から低いことを示唆する結果が得られた。さらに、モデル計算との比較から、温度10 K程度の低温な星なしコアのタイムスケールがseveral 10^4 年と小質量星のそれに比べ短い可能性が高いことがわかった。また、観測の効率化のため、野辺山45m望遠鏡用70 GHz帯受信機の高感度化を行い、72 GHz、76 GHzでのシステム雑音温度がそれぞれ200 K、150 Kと、以前にくらべ50 K以上、雑音温度を改善することができた。さらに、重水素化物のJ=2-1輝線の観測を行うための野辺山45m望遠鏡用140 GHz帯受信機の開発も行った。光学系の設計、受信機デュワーの改修など行い、実際に受信機デュワーを組み上げ、開発を完了する事ができた。今後、J=1-0、J=2-1輝線の観測を行う事で温度など新たな情報が得られると期待される。また、野辺山45m望遠鏡の観測により見つかった重水素濃縮度が最も低い天体に対して、大型ミリ波サブミリ波干渉計ALMAによる観測を行った。その結果、非常に若い原始星を発見し、この原始星は小質量星の形成時に比べ、高い降着率で形成されていることを示唆される結果が得られた。この天体は、降着率の高い状態での星形成を理解するための貴重なサンプルと言える。この結果は、現在論文にまとめている。今後、ALMAを用いたサーベイ観測を行っていく事で、統計的な研究を行い、本研究をさらに発展させていく事ができると考えている。
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Research Products
(3 results)