2012 Fiscal Year Research-status Report
全天X線観測と可視赤外観測によるマグネターの新発見と放射機構の解明
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23740147
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
森井 幹雄 東京工業大学, 理工学研究科, グローバルCOE研究員 (90392810)
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Keywords | X線天文学 |
Research Abstract |
マグネターは超強磁場を持つ中性子星であり、磁場のエネルギーを解放しながら光るパルサーの一種である。その磁場のエネルギーの解放メカニズムは良く分かっていないが、突発的に明るさが変動することが知られている。可視・赤外対応天体が見付かっており、磁気圏起源とダスト円盤起源の二つの可能性が考えられている。我々はマグネターの赤外対応天体についてAKARIのデータ解析を行い、有意な変動を検出した。さらにこの変動がダスト円盤の消失によって説明することが可能であることを示した(Kaneko et al. in prep.)。 さらにマグネターの赤外放射の起源を調べるため、すばる望遠鏡による観測を2013年3月に行った。2つのマグネターについて赤外測光を行うことができた。 一方、我々が運用している、全天X線監視装置MAXIは2011年11月に、新種の突発天体 MAXI J0158-744 を発見した。これは極めて重たい白色矮星とBe星との連星系で起こった新星爆発の一種であることが判明した。MAXIが捉えたアウトバーストは100倍のエディントン光度にも達していた。極めて速く減光したことから、非常に重たい白色矮星であることが示唆されるが、さらに磁場の強い白色矮星である可能性もある。近年理論的に提唱されている磁場の強い白色矮星である可能性もあり、極めて興味深い。この天体の発見論文をApJに投稿した(Morii et al. 2013)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マグネターの赤外観測の結果をCOSPAR, IAU シンポ、天文学会、物理学会で発表した。現在この結果を投稿論文にまとめている。さらに、2つのマグネターについてすばる望遠鏡を用いた赤外観測を実施することができた。 一方MAXIの観測により、新種の天体MAXI J0158-744 を発見し、論文をApJに投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
マグネターの赤外観測の結果を論文として出版する。ダスト円盤の消失という他では見られない現象の可能性を追及する。そのためさらにすばる望遠鏡を用いた観測提案を行っていく。 MAXIの観測データから、マグネターの周期を検出するためのソフトウェアの整備を行い、高性能コンピュータを用いて、マグネターの検出を狙う。 MAXI J0158-744 の論文を出版する。さらにアウトバーストの理論モデルについての第2論文を出版する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初購入予定であったGPUボードは、東工大情報センターのスーパーコンピュータのグレードアップに伴い不要になったものを無料で借り受けることができたため、購入の必要がなくなった。そのため、平成24年度において、100万円の未使用額が生じた。 未使用額も含めた平成25年度における研究費の使用項目は以下のとおりである。東工大または理研が所有するスーパーコンピュータの利用料。MAXI J0158-744 のスペクトルモデルをモンテカルロで計算するためのコンピュータ。MAXI の膨大なデータを保存するための大容量ファイルサーバー。
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