2013 Fiscal Year Annual Research Report
多視線分光法によるマゼラニック・ブリッジ内部構造の解明
Project/Area Number |
23740148
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
三澤 透 信州大学, 全学教育機構, 准教授 (60513447)
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Keywords | マゼラニック・ブリッジ / クェーサー吸収線 / 国際情報交流(アメリカ) |
Research Abstract |
大マゼラン雲 (LMC) と小マゼラン雲 (SMC) を結ぶ連結構造であるマゼラニック・ブリッジ (MB) の内部構造とその起源を、背後に存在する7つ活動銀河核 (AGN) の可視・紫外高分散分光スペクトルを用いて探ることが本研究の目的である。 初年度は、VLT/UVESで取得された可視高分散分光データ (R~40,000, 5天体) の解析を行い、Ca II H,K 吸収線、Na I D1,D2 吸収線の強度と形状が視線ごとに明らかに異なることを突き止めた。2年目は、HST/COS で取得された紫外高分散分光データ (R~20,000, 3天体) の解析に着手した。最終年度には、マゼラニック・ストリーム (MS; LMC/SMCの相互作用がもたらしたもう一つのガス構造) に対して我々と同様の研究を行っていたウィスコンシン大学のグループとともに、MBとMSを包括するプロジェクトに発展させた。その結果、以下の傾向を確認した: 1) MBとMSを含む全マゼラン系に対する吸収線検出率 (すなわちCovering factor) はおよそ80%である; 2) 中性水素量 N (H I) と電離レベル (Si III/Si II比などで評価) の間に逆相関があり、MBの視線方向は最も N (H I) が大きい領域 (すなわちDLAの候補) に対応する; 3) 全マゼラン系に含まれるガス質量 (およそ10億太陽質量) はLMCとSMCに含まれるH Iガス質量を凌駕するため、LMCとSMCは当初保有していたガスの多くを失った可能性がある。本研究の結果から、MBの起源として提案されている3つのシナリオのうち「LMCとSMCの相互作用時におけるSMCからのガスの剥ぎ取り」説が現時点では最有力であることを確認した。
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[Journal Article] The COS/UVES Absorption Survey of the Magellanic Stream. III: Ionization, Total Mass, and Inflow Rate onto the Milky Way2014
Author(s)
Andrew J. Fox, Bart P. Wakker, Kathleen A. Barger, Audra K. Hernandez, Philipp Richter, Nicolas Lehner, Joss Bland-Hawthorn, Jane C. Charlton, Tobias Westmeier, Christopher Thom, Jason Tumlinson, Toru Misawa, J. Christopher Howk, L. Matthew Haffner, Justin Ely, Paola Rodriguez-Hidalgo, Nimisha Kumari
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed
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