2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740161
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大栗 真宗 東京大学, 数物連携宇宙研究機構, 特任助教 (60598572)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 重力レンズ / 銀河団 / 観測的宇宙論 / クエーサー |
Research Abstract |
当初の予定通り、強い重力レンズを示す銀河団のすばる望遠鏡による系統的な観測を行い、その重力レンズ効果の詳しい解析を行った。これにより、銀河団内のダークマター分布についてこれまでにない精度で明らかにすることができた。特に、ダークマター密度分布の中心集中度について長らく論争が続いていたが、この研究により密度分布が標準的な冷たいダークマターモデルで予測されるものとよい一致を示すことを明らかにした。また密度分布の非球対称性についても測定を行い、ダークマター分布が平均的におおきく歪んだ扁平な分布である強い証拠を得た。この一連の研究により銀河団の理解がより深まり、研究計画の主目的である銀河団の進化の観測を用いたダークエネルギーの解明に向けた重要なステップとなる。この他、大規模N体計算のレイトレーシングの研究も進め、特に宇宙論的重力レンズの確率分布について最高精度の計算を行い解析計算との比較などを行った。これも来るべきサーベイデータの解析を見据えた理論研究の成果である。さらに、これまで行ってきたクエーサーの重力レンズ現象の研究も進め、新たな重力レンズ系の発見や、さらには大分離隔重力レンズクエーサーのハッブル望遠鏡観測を行い前年度のチャンドラX線望遠鏡観測結果と合わせてレンズ銀河団の詳しい密度分布を明らかにするべく解析を進めている。クエーサー重力レンズの研究に関しては、SDSSデータ内の探索を完了することができ、その結果をまとめる作業を本年度に行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、現行のすばる望遠鏡観測データを用いた解析について結果を論文にまとめることができ、かつ他の理論及び観測研究についても大きな進展があり、当初の目標をほぼ達成できたものと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の目標通り、すばる望遠鏡HSCを用いたサーベイ観測解析のための理論研究をさらに推し進め準備を行いたい。予定では次年度にHSCのファーストライトが見込まれるため、実際の画像を用いて重力レンズのための銀河形状測定の問題点を洗い出しよりより解析方法を見いだしていく。平行してHSCで実現可能な手法の開発を目指した理論研究も行っていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定されていたハワイ島マウナケアでの観測が望遠鏡トラブルにより中止になったことなどにより一部を次年度に持ち越しとなった。この観測時間は次年度に再割当が予定されているのでその旅費等に充当する。
|