2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740161
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大栗 真宗 東京大学, 学内共同利用施設等, 助教 (60598572)
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Keywords | 観測的宇宙論 / 重力レンズ / クエーサー / 銀河団 / ダークマター / ダークエネルギー |
Research Abstract |
すばる望遠鏡Hyper Suprime-camを用いた大規模撮像サーベイに向けた、様々な理論的および観測的研究を行った。例えばN体シミュレーションを詳しく解析することで、密度揺らぎパワースペクトルの高精度モデルの開発や重力レンズで選択される銀河団の選択効果などを調べた。銀河団により引き起こされた大分離角重力レンズクエーサーを、ハッブル望遠鏡およびチャンドラ望遠鏡で観測し、詳しい解析からその複雑な内部構造を明らかにし、特に衝突によって重力レンズとX線から推定される銀河団質量に著しい違いがあることを突き止めた。またクエーサーの小スケール相関関数を測定し、それをハローモデルの枠組みでモデル化することでクエーサーがダークハローの中心に存在する確率を初めて制限した。またスローンディジタルスカイサーベイから構築された重力レンズクエーサーサンプルの統計解析を行うことで、超新星爆発の観測等とは独立に宇宙が加速膨張している強い証拠を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり多くの研究成果をあげることができた。Hyper Suprime-camの開発に遅れが出ていることから、サーベイの開始も当初の見込みから遅れており、そのため実際のHyper Suprime-camの観測データを用いた研究が未だできていないが、その一方でサーベイ解析の準備となる理論的および観測的研究を順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きさまざまに研究を行ってサーベイ解析の準備を進める。近いうちにHyper Suprime-camの実際のテスト用観測データが取得される見込みなので、この観測データを解析しその特性を理解する作業を行う。その一方で準備研究として、今後は銀河団の研究、とくに多色撮像データからどのように銀河団を同定するかの方法論の研究と実際の同定アルゴリズムの開発を重点的に研究する予定である。開発したアルゴリズムはまずスローンディジタルスカイサーベイやCFHTレガシーサーベイの撮像データで様々なチェックを行い最終的にHyper Suprime-camのデータに適用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
多くの研究成果があがっているので、国際研究会等に参加し成果を宣伝しまた次の研究に向けた議論を行う。Hyper Suprime-camで共同研究を行っている海外の研究者を訪問し打ち合わせを行う。
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