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2011 Fiscal Year Research-status Report

球状星団の化学元素組成に基づく宇宙初期の銀河系形成過程の解明

Research Project

Project/Area Number 23740162
Research InstitutionNational Astronomical Observatory of Japan

Principal Investigator

石垣 美歩  国立天文台, ハワイ観測所, 研究員 (30583611)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords国際情報交流
Research Abstract

当該年度は、銀河系古成分に付随する金属欠乏星の化学組成解析、潮汐破壊球状星団Palomar 5の分光データ解析の二つを柱に研究を進めた。 銀河系の主要な構造成分のひとつである厚い円盤および恒星系ハローに所属する恒星の化学組成解析を行った。これらの構造成分は、銀河系形成初期に生まれたと考えられる金属欠乏星が多く付随する古い成分であり、銀河系の化学動力学進化を探る上で貴重な化石情報をもつとされている。化学組成解析の結果、厚い円盤と恒星系ハローとの間に、マグネシウムおよびシリコン(α元素)と鉄の組成比に系統的な違いが見られた。これは、二つの構造成分のあいだで、星形成率や銀河風の効率など何らかの要因で、過去の星形成史に違いがあることを示唆する。 また恒星系ハローに所属する銀河系球状星団Palomar 5の化学組成データについて、昨年度に取得した分光データの初期解析を行った。この星団は天空上で細長く引き延ばされた形状をしていることから、銀河系が星団に及ぼす潮汐力でいままさに壊れかけていると考えられる大変珍しい球状星団である。本研究では、Palomar 5の潮汐流部分に付随する星を、すばる望遠鏡の多天体分光器FOCASによる視線速度測定から探し出し、高分散分光で追観測を行い、詳しい化学元素組成の分析を行う計画である。当該年度は、前年度に実施したFOCASによる分光観測で得られたデータの初期解析を行い、視線速度を測定した。その結果いくつかのサンプル星について、Palomar 5本体と類似の視線速度を持つ星を同定することができた。初期解析の結果に基づいて、高分散での追観測の提案を行ったが、観測時間を確保するには至らなかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

前の年度まで行ってきた研究を論文にする作業に予想以上の時間がかかり、本研究の主要なテーマである球状星団のデータ解析に本格的に着手するにはいたらなかった。その原因としては、まず以前から行ってきた研究テーマについて執筆した論文の完成が遅くなったことが挙げられる。また、データ解析を行う解析ツールが整っていなかったことも要因のひとつである。本研究で使用した観測時の設定はこれまであまり使用されておらず、解析ツールを独自に開発することが必要になる。前年度はツールを用いずに簡単な解析のみ着手したが、本格的にすべてのサンプルについて一様な解析を施すには、まず解析ツールを開発することから始めなければならない。今年度は昨年度以上に本腰をいれてこの課題に取り組むことが必要になる。

Strategy for Future Research Activity

球状星団Palomar 5の中分散分光データの解析を行う。分光データから、前年度に求めた視線速度に加えて金属量も導出し、星団のメンバー星を同定する。メンバー星の性質を銀河系ハロー星と比較して明らかにし、星団の化学・力学進化について、一定の制限を得る。メンバー星と同定された天体については、すばる望遠鏡高分散分光器での追観測の申請をする。 球状星団を含めた銀河形成・進化に関する研究会("First Stars"、京都) に参加し、研究発表および関連する分野の研究者との議論を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

前年度は研究の進行が予定より遅れ、予定していた共同研究者との打ち合わせを実施しなかった。今年度は分光データ解析をすべて完了し、結果の議論の際に共同研究者との打ち合わせを実施する予定である。本研究分野についての国際研究会"First Stars"、京都)への参加も予定しており、それらの旅費として研究費の一部を使用する見込みである。また解析に必要なソフトウェアのライセンスも購入し、より効率的に成果が得られるように整備する。

  • Research Products

    (5 results)

All 2012 2011 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] Chemical abundances of the Milky Way thick disk and stellar halo. I.2012

    • Author(s)
      M. N. Ishigaki, M. Chiba and W. Aoki
    • Journal Title

      Astrophysical Journal

      Volume: 752-1 Pages: 未定

    • DOI

      10.1088/0004-637X/751/1/1

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Chemical abundances of the Milky Way thick disk and stellar halo with Subaru/HDS2012

    • Author(s)
      M. Ishigaki, M. Chiba and W. Aoki
    • Organizer
      2011年度すばるユーザーズミーティング
    • Place of Presentation
      国立天文台(三鷹)
    • Year and Date
      Feb. 29 2012
  • [Presentation] Chemical abundance analysis of the kinematically selected thick disk/halo stars2011

    • Author(s)
      M. Ishigaki, M. Chiba and W. Aoki
    • Organizer
      The 3rd Subaru International Conference
    • Place of Presentation
      ラフォーレ修善寺(Shuzenji, JAPAN)
    • Year and Date
      Nov. 1 2011
  • [Presentation] JVOにおけるHDS一次処理済みデータの解析

    • Author(s)
      石垣美歩、青木和光、白崎裕治、大石雅寿、田実晃人
    • Organizer
      日本天文学会春季年会
    • Place of Presentation
      龍谷大学(京都)
    • Year and Date
      2012年3月20日
  • [Presentation] 銀河系円盤の化学・力学進化と太陽

    • Author(s)
      石垣美歩
    • Organizer
      研究会「太陽物理学と恒星物理学の相互交流と将来的展望」
    • Place of Presentation
      東京大学(本郷)
    • Year and Date
      2011年12月27日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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