2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740164
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 洋平 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (50569043)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 原子核物理 / 不安定核 / 陽子弾性散乱 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中間エネルギー領域での不安定原子核の陽子弾性散乱測定から非対称核物質の状態方程式に関する情報を得る事である。状態方程式の決定には観測量を精密に測定する事が重要となる。測定精度は主に陽子標的に照射される不安定原子核の総量で決まっており、その数が少ないと測定データの誤差が大きくなる。研究初年度である平成23年度は、この精密測定を実現するために以下の事を行った。測定は不安定原子核ビームを大強度で供給出来る加速器施設で行う必要がある。現在国内外の加速器施設のうち、唯一理化学研究所のRIビームファクトリーがその条件を満たしている。そこで同施設で実験を遂行すべく実験の申請書を連携研究者と共に提出した。申請した実験内容は施設側で検討され、全て許可されるという良い連絡を受ける事が出来た。測定には我々の開発した装置を用いる必要がある。装置は既に同施設に搬入されているが、実験開始までに装置の動作確認や実験室への設置などといった作業を行う必要がある。これら作業を連携研究者と共に開始した。測定では加速器から供給される不安定核ビームの原子番号と質量数を粒子毎に100%近い効率で識別する必要がある。しかし現時点で我々が必要とするビーム条件(一秒間に100万個の強度、数十GeVの全エネルギー)のもとで粒子識別可能な検出器は存在しない。そこで本研究ではその検出器の開発も行う。まずはGEANT4やANSYSといったシミュレーションソフトを用いて性能や寸法といった検出器の仕様を詰める作業を行った。ここで決定した仕様をもとに部品の製作や発注を行い、検出器の組み立てを行う作業まで終える事が出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、中間エネルギー領域での不安定原子核の陽子弾性散乱測定から非対称核物質の状態方程式に関する情報を得る事である。研究は3年計画であり、研究初年度である平成23年度は実験準備を行う計画となっている。主な準備項目は2つあり、一つは加速器施設での実験準備であり、もう一つはビーム粒子識別用検出器の製作であった。前者は理化学研究所のRIビームファクトリーにおける実験の申請が通った事と同施設内での測定装置の準備を開始した事から計画通り順調に進んでいる。また後者についても検出器の仕様を決め、製作を行った事から計画通り順調に進んでいると結論づけられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度からは、まず製作した検出器の動作試験を行う。密封線源並びに重イオンビームを用いて検出器の基本性能と粒子識別能力を調べる。その後RIBF で不安定核の陽子弾性散乱測定を行う。測定終了後は密度分布を導出し、非対称核物質の状態方程式を決定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
製作した検出器の動作には希ガスボンベやガス配管などの消耗品の購入が必要である。また各種(建設、実験、解析) 打合せや加速器施設での作業を行う為に国内旅費が必要である。
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Research Products
(6 results)