2011 Fiscal Year Research-status Report
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23740165
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北野 龍一郎 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50543451)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 素粒子論 |
Research Abstract |
超対称性の破れが電弱対称性の破れを引き起こしているという仮説は魅力的なものであるが、実際に理論を構築しようとすると多様な可能性が考えられる。超対称性の破れが非常にミクロなスケールでおこりその小さな影響が電弱対称性を引き起こす場合、それから、超対称性の破れと電弱対称性の破れが同じ力学的機構の場合、また、どちらにも異なる力学的機構が働いている場合などが考えられ、どの模型も興味深い。本年度の研究では、まず模型によらずに成り立つような、超対称性の破れの一般的性質を調べた。特に、超対称性を破るセクターの粒子たちが従うべき法則をQCDのワインバーグ和則にならって導出した。これらは、超対称性の破れの有効理論を構築する際に、制限をあたえる。また、超対称性の破れのセクターを実験で直接観測できるような理論の場合には、和則の確認は超対称性の証拠となりうる。これらの結果は論文にまとめ、Physical Review誌に掲載された。さらに、超対称ゲージ理論の非摂動的性質がよく知られていることを利用して、QCDにおけるクォーク閉じ込めの新しい解釈を提案した。超対称ゲージ理論に超対称性を破る効果を摂動として導入してQCDの性質を理解することを試みた。これによって、実際にQCDの低エネルギー理論と同じ構造を発見することができ、また、そのとき、ρ中間子がQCDのMagnetic描像におけるゲージ粒子であると同定されることをみた。これはすなわち、ρ中間子が質量をもつ機構の双対描像がクォーク閉じ込めであるということを示唆していて、興味深い。これらの成果は論文にまとめ、JHEP誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は超対称性の破れと電弱対称性の破れの関連に着目して、様々な可能性とその検証法を議論するものである。これまでの研究で、すでに新しい理論的結果が得られている。また、その関連分野である、QCDの理解の研究にも着手できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、LHC実験の結果を踏まえて、可能性を絞っていきながら、どのような過程で何を探索すべきかの現象論的研究にも取り組み、電弱対称性の破れの理解を目指していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は昨年度に得られた成果の報告のため、国内外の研究会に参加するための旅費に研究費を使用する。また、新しい電弱理論の構築とその検証のために数値計算が必要となる。そのためのコンピュータとソフトウェアの購入に使用する。
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Research Products
(5 results)