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2011 Fiscal Year Research-status Report

電子電気双極子能率探索のための中性フランシウム原子線生成装置の開発

Research Project

Project/Area Number 23740166
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

川村 広和  東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 助教 (50586047)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords電気双極子能率 / 中性化 / レーザー冷却 / フランシウム / ルビジウム
Research Abstract

本研究はフランシウム (Fr) の電気双極子能率の精密測定実験に用いるための Fr イオン中性化装置の開発を目的としたものである. Fr は加速器を利用して生成しなくてはならないため, 当該年度の前半では Fr と化学的性質が類似した安定なルビジウム (Rb) イオンビーム生成装置の開発を行った. これによって加速器利用を最小限に抑えて, 装置開発を効率良く進めることが可能となった. 当該年度の後半では, 実際に中性化装置の開発を行った. 当初, イオン・電子再結合反応を利用する中性化装置の開発を行うことを計画していたが, 電気双極子能率実験全体から要求される中性化装置の条件を詳細に検討し直したところ, その反応を利用した場合, イオンを充分に減速することが実現不可能な程に困難であることが判明した. そこで特に減速能力を重視した結果, 表面中性化現象を利用した装置を開発することとした. Fr や Rb のイオンを, 小さな仕事関数をもつ標的 (イットリウム) に入射し, 標的を加熱することでイオンが脱離するときに電子を受け取って中性化するというものである. 脱離する中性原子にできるだけ指向性をもたせるため orthotropic source の原理を利用した. その原理に基づき設計を進め, 装置を製作し, その動作試験を行った. 中性化装置に Rb イオンビームを入射し. そこから出力されると予想される中性原子を再イオン化検出法によって測定した. その結果, Rb イオンの入射に由来する中性な出力があることを確認した. Rb イオンを本手法によって中性な粒子に変換したのはこれが初めてのことであり, 化学的な性質を考慮すると Fr でもこの手法及び装置は充分に利用できると予想される.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

「研究実績の概要」で述べた通り, 中性化原理を当初予定していたものから新しいものに変更する必要があったため, その原理を理解し, 設計に反映し, 装置の製作を行った. このように, 当初計画では考慮していなかった要素が必要となったために, 当該年度の目標であった蛍光観測法による検出が行えていない等, 若干の遅れが生じた. ただし, 実際に製作した中性化装置の動作試験において再イオン化検出法による中性粒子の出力が確認できている. また二年目に始める予定であった原子線収束器の開発について, 国際会議を通じて知り合った海外の研究者が同様の装置を開発した経験を有していたことから実践的な議論が行え, 予定以上に早く検討・設計を手がけることができた. 以上のことから, 現在までの達成度は先に示した区分の通りであると評価できる.

Strategy for Future Research Activity

予定通り, 初年度で中性化装置の製作と動作試験が行えたので, その詳細な性能評価と最終目標である電気双極子能率探索実験のための実用化を進めていく. 可能な限り中性化効率を向上することが肝要であるが, まずは現状の性能を正しく把握しなくてはならない. そこで, レーザー誘起蛍光観測法によって現在の装置の中性化効率や中性原子線の幾何学的な広がりや運動量分布の測定を行う. これを踏まえた上で性能を向上するためには表面電離/中性化現象の更なる理解が不可欠である. 中性化効率にとって高温度・高電圧は重要なパラメータだが, それ以上に適切な標的材質を選択することは本質に関わるので, これらの最適な組み合わせを探索していく. 同時に原子線収束器の開発を進める. 設計を完了させ, 実機を製作し, まずは中性化装置とは独立して動作試験をする. 安定な Rb 原子であれば中性原子線源は簡単に用意できるので, これを設計通りに収束できることを実証する. この動作試験で得られた反省点を反映し, 実際に中性化装置から出力される原子線の収束能力を評価する. 開発の終盤では中性化装置及び原子線収束器を, 本研究課題と並行して開発が進められている磁気光学トラップ装置と組み合わせる. これらを総合して Rb 及び Fr をイオンから中性原子に変換し, 原子線収束器を利用してトラップ装置への供給能力を改善し, 高い効率でのトラップを実現することが本研究課題の最終目標である.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

中性化された原子の検出に用いるレーザー誘起蛍光観測法や, 原子線収束の原理であるレーザー冷却などは, 呼称から明らかなようにレーザーを用いる光学的実験手法である. それらの開発が主軸となる次年度では, 各種光学機器を購入することが研究費の主な用途となる. 中性化装置本体は性能評価に耐える程度には完成したものであるが, 耐高温・耐高電圧を動作原理上要求するため, 装置の定期的なメンテナンスを必要とする. 具体的には部品の交換や新造を伴うので, メンテナンスの際には性能向上のための改造を兼ねるようにする.他の用途に, 成果発表や国内外の研究者との打ち合わせのための出張旅費がある.

  • Research Products

    (5 results)

All 2012 2011

All Journal Article (1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] Search for permanent EDM using laser cooled Fr atom2012

    • Author(s)
      H. Kawamura et al.
    • Journal Title

      Proceedings of 5th International Workshop on Fundamental Physics Using Atoms 2011

      Volume: - Pages: 74-78

  • [Presentation] 電子EDM探索のための高輝度アルカリ原子ビームの開発2012

    • Author(s)
      佐藤智哉
    • Organizer
      日本物理学会第67回年次大会
    • Place of Presentation
      兵庫県西宮市
    • Year and Date
      2012年3月25日
  • [Presentation] 冷却不安定原子を用いた対称性検証実験2011

    • Author(s)
      川村広和
    • Organizer
      「核スピン研究と応用」研究会(招待講演)
    • Place of Presentation
      東京都目黒区
    • Year and Date
      2011年11月19日
  • [Presentation] Search for permanent EDM using laser cooled Fr atom2011

    • Author(s)
      H. Kawamura
    • Organizer
      Fundamental Physics Using Atoms 2011(招待講演)
    • Place of Presentation
      Okayama, Japan
    • Year and Date
      2011年10月10日
  • [Presentation] 電子EDM探索のための中性アルカリ原子生成装置の開発2011

    • Author(s)
      川村広和, 他
    • Organizer
      日本物理学会2011年秋季大会
    • Place of Presentation
      青森県弘前市
    • Year and Date
      20110916-19

URL: 

Published: 2013-07-10  

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