2012 Fiscal Year Annual Research Report
電子電気双極子能率探索のための中性フランシウム原子線生成装置の開発
Project/Area Number |
23740166
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川村 広和 東北大学, 学内共同利用施設等, 助教 (50586047)
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Keywords | 中性化 / 電気双極子能率 / フランシウム / レーザー冷却・トラップ |
Research Abstract |
電子の永久電気双極子能率(EDM)の探索実験に向けた不安定原子の中性化装置の開発を行った. 本研究は, 最大のアルカリ原子Frにおいて増幅される電子EDMを世界最高精度で探索し, 時間反転対称性, ひいては標準模型の検証を目指している. 最高精度を達成するためにはFrの大量生成が不可欠である. 本課題は, EDM探索において鍵となる大強度かつ低速の中性原子線を生成することを目的とする. 核融合反応によって生成されたFrのEDM測定をするためには, Frイオンを引き出して, 中性化し, これをレーザー冷却・トラップして精密測定に相応しいサンプルとして用意する必要がある. 同様の実験はこれまでに海外でも進められているが, 核反応で生成した高温の不安定核から中性の原子に変換する効率が極めて低く, 高精度探索の実現を困難としてきた. 本研究は, Frイオンビームから中性原子線に変換し, さらにレーザー冷却により原子線をコリメート・減速することにより高品質なFr原子線を得ることで, 高効率のトラップを目指している. 一年目にはorthotropic source型の中性化装置を製作し, オフライン実験でRbイオンを変換して中性Rb原子を出力できることを確認した. 最終年度となる二年目にはオフライン実験を続け, Rbイオンを中性原子に変換し, それを実際に磁気光学トラップに捕獲することに成功した. さらにオンライン実験も行い, 核反応で生成したFrイオンをも中性原子に変換できることを確認した. マシンタイムや関係する他の装置の都合を合わせることができず, Frのトラップには至らなかったが, 磁気光学トラップ装置をビームラインにインストールすれば実際にFrのトラップを達成できる見通しを立てることができた. 現在は中性化効率の評価など詳細な解析を行っており, 投稿論文にまとめる予定である.
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Research Products
(9 results)