2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23740168
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥田 拓也 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (90595646)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 素粒子(理論) / 数理物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度は4次元ゲージ理論のループ演算子に関するレビュー論文を執筆した。ここでは近年発展した、共形場理論やHitchin系など2次元面上の物理理論と4次元超対称ゲージ理論の間の対応において、ループ演算子が担う役割を説明した。特に電磁双対性でのWilsonループと’t Hooftループの変換や、H23・24年度におこなった’t Hooftループの局所化計算について詳説した。この論文は、J. Teschnerが編集する2次元・4次元対応に関するレビュー論文を集めたLetters in Mathematical Physics誌の特別号に掲載される予定である。
研究では引き続き2・3次元時空上のゲージ理論、特に超対称性が存在する系を調べた。非局所的演算子や境界を考察し、超対称局所化の新たな計算手法を開発し、現段階では論文で発表していない幾つかの有用な結果を得た。まず、超対称局所化で指数定理や汎関数の特殊な表示を用いる汎用性の高い計算法を開発し、vortexループや半球面分配関数の計算を精密化・一般化した。また場の量子論の紫外発散を調べ、正則化の方法と相殺項が、超対称性や電荷共役普遍性によりどのように制限されるかを考察した。同時に、物性理論で近年発展したトポロジカル絶縁体の物理を用いて超対称ゲージ理論を理解することを試みた。超対称量子場理論の局所化は、計算を弱結合極限のものに帰着させることで行う。したがって、局所化計算で現れる量の一部、特に制限された相殺項に依存しない量は、質量を持つ自由ディラック粒子からなる系の真空構造から理解することができる。このような量をトポロジカル絶縁体との類似により解釈した。さらに、H24年度におこなったvortexループ演算子の局所化計算を一般化し、演算子が超対称性を保つ密度分布で広がっているときに局所化計算を実行して粒子・渦糸双対性の超対称版であるミラー対称性を支持する結果を得た。
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Research Products
(2 results)