2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740172
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 基 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70568170)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 素粒子論 |
Research Abstract |
平成23年度は、スイス・CERN研究所において現在行われているLHC実験の実験結果に基づいて超対称標準模型に関する研究を中心に行った。宇宙再加熱過程は素粒子標準理論を超える新しい物理に強く依存する。新しい物理の特に有力な候補であると考えられている超対称標準模型では、グラビトン粒子の超対称パートナーであるグラビティーノ粒子の存在が予言される。宇宙再加熱過程において生成されたグラビティーノ粒子は、その質量や崩壊過程に応じて宇宙の熱史に強く影響を及ぼすことが知られている。本研究の最初のターゲットである高い宇宙再加熱温度を実現するためには、グラビティーノ粒子は非常に重いか、もしくは1GeVスケール程度よりも軽くなければいけない。平成23年度はLHC実験の実験結果に基づいてグラビティーノ粒子が軽い場合に注目して研究を行った。とくにLHC実験では素粒子標準理論における最後の未発見粒子であるヒッグス粒子の質量について非常にインパクトのある結果が得られた。このヒッグス粒子の質量に対する結果は、軽いグラビティーノ粒子を予言する超対称標準模型に対して強い制限を与えることがわかる。平成23年度は、ヒッグス粒子の質量の結果に加えて、新しい物理の存在を強く示唆することで知られるミュー粒子異常磁気能率の結果をこの模型が説明することを要請することで、超対称粒子がLHC実験において比較的近い将来に発見されることを明らかにした。すなわち、この研究結果に基づいてLHC実験において超対称粒子を探索することで、近い将来に宇宙再加熱温度に制限をつけることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高い宇宙再加熱温度を実現するために軽いグラビティーノ粒子を予言する超対称標準模型に関して、LHC実験における実験結果を用いてインパクトのある結果が得られた。一方で、NLSPが長寿命になる模型に対する解析が計画時よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に引き続き研究を遂行する。とくに軽いグラビティーノ粒子を予言する超対称標準模型についてLHC実験の実験結果を用いてより詳細な研究を行う。また、超対称標準模型以外の素粒子標準理論を超える新しい物理の可能性を調べる。とくにLHC実験や他の実験・観測から示唆されている新しい物理のシグナルに注目する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
情報収集およひ研究成果の発表を行うために国内外の会議・研究会へ参加する。また、成果発表や出張中における研究を円滑に行うためにラップトップパソコンを購入する。
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Research Products
(4 results)