2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740172
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 基 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70568170)
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Keywords | 素粒子論 |
Research Abstract |
平成25年度は、主に超対称標準模型におけるミュー粒子異常磁気能率について研究を行った。とくに、スイスのCERN研究所において行われているLHC実験、および次期加速器実験として有望視されている国際リニアコライダー(ILC)実験をターゲットにしたシグナルを調べた。超対称標準模型の構築は、宇宙再加熱過程を含む初期宇宙論を解明するために重要である。 近年のヒッグス粒子の質量測定を含むLHC実験における実験結果は、超対称標準模型の予言する新粒子(超対称粒子)のうち、カラー電荷を持つ粒子が重いことを示唆している。一方で、素粒子標準理論を越える物理のシグナルがミュー粒子異常磁気能率の測定から見つかっている。ミュー粒子異常磁気能率のシグナルはカラー電荷を持たない超対称粒子が軽いことを示唆している。そのような粒子はLHC実験およびILC実験において特徴的なシグナルを生成すると考えられる。平成25年度は、LHC実験およびILC実験においてこれら軽い超対称粒子が予言するシグナルについて詳細な研究を行った。とくに、LHC実験における重心系エネルギー8TeVでの実験結果を用いることで、軽い超対称粒子の予言するシグナルがコライダー実験により近い将来に検証することができることを示した。また、ILC実験において軽い超対称粒子の性質を詳細に測定することで、ミュー粒子異常磁気能率のシグナルを直接検証することができることを明らかにした。これらの研究は超対称標準模型を構築するために重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き、LHC実験において発見されたヒッグス粒子の測定結果に基づく超対称標準模型の研究を行った。現在はLHC実験の実験結果から示唆される超対称標準模型の構築と、その模型の検証方法の提唱を行っているところである。これは研究開始時における予定におおむね即している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に引き続き研究を遂行する。ヒッグス粒子の測定結果およびミュー粒子異常磁気能率から示唆されている素粒子標準理論を越える物理のシグナルに注目して模型を構築し、その現象論的性質を調べ、さらに将来の実験における模型の検証可能性を研究する。また、これらの結果を用いて宇宙再加熱過程を含む初期宇宙論を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は国際会議に複数回参加したが、それらのうち東京を含む国内で開催されたものが何回かあったため、当初の見積もりよりも使用旅費が少なくなった。 国内外の会議・研究会へ積極的に参加する。また、成果発表や出張中における研究を円滑に行うための機器を購入する。
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Research Products
(6 results)