2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23740172
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 基 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70568170)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 素粒子論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は主にLHC実験における新物理探索について研究を行った。前年度までは新物理として主に超対称性標準模型に注目して研究を行ってきたが、LHC実験を含むこれまでのコライダー実験では超対称性標準模型の兆候は見つかっていない。本研究課題における当初の計画に従い、平成26年度は新しい物理のより広い可能性を模索した。特に、LHC実験における暗黒物質の探索可能性について研究を行った。これまでの宇宙観測事実から暗黒物質が存在することは確実であるが、それがどのような性質を持つか分かっていない。LHC実験では暗黒物質を直接生成することで暗黒物質の起源に迫ることが可能であるが、その理論的枠組みには適用限界がある。我々は、この条件がLHC実験にどれくらいインパクトを与えるかを明らかにした。また、素粒子標準理論においてヒッグス粒子が暗黒物質と相互作用を持つ粒子としてもっともシンプルであることが知られている。従来の解析では暗黒物質がヒッグス粒子の質量の半分よりも軽いことが通常仮定されてきたが、この仮定には理論的に一般的な根拠はない。我々は暗黒物質がさらに重い場合においてLHC実験での検出可能性について研究を行った。これらの研究は暗黒物質の起源に迫る上で重要である。宇宙における暗黒物質の残存量はすでに測定されているため、暗黒物質の性質を明らかにすることは宇宙再加熱時における暗黒物質の生成過程を特定する上で不可欠であると考えられる。 本研究はLHC実験における宇宙再加熱過程の解明を目的としてきた。研究手法として素粒子標準理論を超える新しい物理の発見を前提としていたが、残念ながら本研究期間には新物理の兆候が実験的に検出されることはなかった。しかし、将来の実験において新物理の兆候が見つかった場合に、本研究の成果が初期宇宙のシナリオを明らかにしていく上で重要になると考えられる。
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Research Products
(6 results)