2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740181
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉田 聡司 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 助教 (30573563)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 宇宙物理(実験) |
Research Abstract |
今年度は大口径反射鏡製作のための要素技術 GCM に使用するガラスの選定と小口径の金型を用いた GCM の製作を行った。まず使用する薄板ガラスの選定に当たって、従来レプリカフォイル型基板で使用していた schott 社では無く国内メーカーの薄板ガラスが利用できないか調査を行った。これは shcott のガラスは実績があるがドイツのメーカーであるため入手性や加工以来が容易ではないためで、薄板ガラスを割らずに円錐に巻くためにはガラス端面の処理が重要であり、要求する加工を行える国内メーカーを調査した。最終的に日本電気硝子社の液晶用薄板ガラスが候補となり、厚み 100 um と 55 um のガラスをテストした。ガラスそのものとしては十分な平滑性を持っているが、実際に GCM 用に使用できるかを確認するために薄板ガラス金蒸着をして反射率の測定を行った。その結果従来使用している厚いフロートガラスと同程度のX線反射率を持ち、X線反射面転写用ガラスとして十分な性能を持っている事がわかった。以降日本電気硝子の薄板ガラスを使用して研究を進めている。本研究の申請前に既に製作してあった小口径の円錐金型を使用して実際に薄板ガラスを巻く事ができるかを試験し、phi 180 mmの小口径でも GCM としての使用に耐えられる強度を持つかを確認し、実際に転写面として使用した。製作した反射鏡を簡便に評価するために可視平行光での反射光評価を改良し、その測定結果からガラスマンドレルで製作したミラーと GCM で製作したミラーでは同程度の性能を持っており円錐金型 GCM によるミラーの製作が可能な事を示した。一方で性能の絶対値としては要求される 4 回反射 HPD で 4 分角にはまだ届いておらず、GCM に最適化したスプレー方法や圧着方法等の改良が必要であると考える。これらの成果を天文学会春季年会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23 年度の計画のうち、薄板ガラスの選定と小口径の円錐金型を用いた GCM の試作は終了したが、本年度に製作する予定であった大口径の要素ミラー用の金型を用いた GCM はまだ設計の段階である。これは薄板ガラスの選定を詳細に行ったためと、24 年度初頭に DIOS 衛星用望遠鏡テストモデルのX線測定を NASA/MSFC で行う事が決まったため、そちらの組み込むための反射鏡製作を優先させたためである。大口径用金型は既に設計は終了しており、名古屋大学理学部装置開発室に製作を発注は終了しているため、大きな遅れにはならず、MSFC の実験結果は本研究にフィードバックがあると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
24 年度初頭に行うGCM で製作した小口径 180 mm の反射鏡を搭載した DIOS 用X線望遠鏡のテストモデルのX線測定に参加し、結果を本研究にフィードバックさせる。大口径要素反射鏡用の金型が製作され次第、これを用いて 1/8 円周反射鏡の製作にとりかかる。要素反射鏡の性能はまず可視平行光によるシステムで評価する。平行して反射鏡を納める大口径 1/8 円周のハウジングを設計製作し、 4 段分の反射鏡を詰めて性能評価を行う。また反射鏡の製作はその工程での細かいノウハウの積み重ねなので、大口径反射鏡に適した接着剤塗布や硬化方法等のパラメータの調査を逐次行って行く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度に製作するはずだった大口径要素反射鏡用の金型は次年度に製作するので予算は次年度にずれこんでいる。後は予定通り主に 1/8 円周ハウジングの製作と反射鏡製作用の消耗品に使用する計画である。また、MSFC の実験に参加するための旅費としての予算を使用する予定である。
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