2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23740186
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平松 尚志 京都大学, 基礎物理学研究所, 特定研究員 (50456175)
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Keywords | 宇宙論 / 密度揺らぎ / 宇宙論的位相欠陥 / 宇宙論的摂動論 / 宇宙紐 / 修正重力理論 / 数値宇宙論 |
Research Abstract |
研究開始当初は、数値宇宙論の一つの体現として物質密度揺らぎの非線形進化を特に取り上げることとした。研究が進むに連れ、数値宇宙論の枠内において、様々な応用研究が可能であることが明らかになり、数値宇宙論という枠組みの意義とその可能性を探るため、宇宙論に関係する様々な研究分野の研究者らとも連携して研究を遂行してきた。その基盤となる「場の理論に基づく格子シミュレーションコード」の作成後は、応用として、宇宙初期における真空の相転移に伴って現れる「宇宙論スケールの位相欠陥」のネットワークの構造、およびそこから放出され、暗黒物質の候補となるアクシオンや重力波の研究を行った。特に最終年度は、Type-I 宇宙ひもという特殊な宇宙ひものシミュレーションを行行ったことを踏まえて、物質密度揺らぎに影響を与える可能性のある宇宙ひもの物理的性質に迫る研究を行った。また、ドメインウォールと宇宙ひもの混合状態が現れる理論模型を用いて、放出される重力波のスペクトルを作成した。さらに、準安定な宇宙ひもの衝突から超対称性理論への制限ができる可能性についても議論した。 物質密度揺らぎそのものの進化に関しては、数値宇宙論の枠組みで行うには避けては通れない「初期条件」の構築のための準備研究を行った。研究最終年度までに、各場の揺らぎの二次摂動までを取り入れたボルツマン方程式を解くための基盤コードが完成した。このボルツマンソルバーが完成すると、これまでには無いレベルでの宇宙マイクロ波背景放射の解析にも応用することができる。その応用性を鑑み、一度導出したボルツマン方程式の導出方法を根底から変更する作業に着手するため、研究最終年度末において、初期条件構築コードの実用化までには至っていない。また、こういった摂動論の枠組みの中で、密度揺らぎのパワースペクトルから、一般相対性理論からのずれを検出するための理論的枠組みも構築した。
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Research Products
(7 results)