2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23740199
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
幸村 孝由 工学院大学, 基礎・教養教育部門, 准教授 (20365505)
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Keywords | X線 / X線CCD / X線天文学 / 可視光 / 紫外線 / 遮光 / フィルター / 可視光遮光フィルター |
Research Abstract |
本研究では,宇宙X線観測用裏面照射型CCD(以下BI-CCD)の可視光遮断方法を確立するために,CCD素子の表面に可視光遮断フィルムを直接コートしたBI-CCD(以下OBL-CCD)の開発を行う。 最終年度である今年度は,本研究で新たに開発した手法で,100nmの厚みのアルミニウム(以下Al)をコーティングしたOBL-CCDを製作した。このOBL-CCDは1cm四角の小型のもので,今年度は,このOBL-CCDを用いて,以下の3点を目標として研究を遂行した。①OBLの可視光透過率の測定し,OBLの遮光性能を実証する。②OBL-CCDにX線を照射し,OBL-CCDのX線に対するエネルギー分解能等の基本的な特性を検証する。③OBLのX線透過率を測定し,BI-CCDの特徴である低エネルギー帯域での検出効率を決めるOBLの厚みを測定する方法を確立する。 ①については,厚さ100nmという限りなく薄いAl膜からなるOBLで,可視光透過率を設計値通りの10^-5に抑えることを実証した。また,Alの膜の中に生じるピンホールについては,宇宙X線観測に問題がない程度まで小量に抑えられていることも確認した。②-100℃に冷却した状態で,OBLをコーティングしていない同じタイプのBI-CCDと比較し,暗電流が0.3e-と同程度に低く,5.9keVのX線に対するエネルギー分解能も同程度の-140eVであることが分かった。③KEK-PFにおいて斜入射照射法を用いた測定を実施し,Alの厚みが設計値と同じ100nmであることを確認し,可視光透過率の結果と矛盾がないことが分かった。 以上のことから,本研究によって「Alのコーティング手法の確立・Alの厚みの決定」を達成することができた。今後は,Alに紫外線遮光用のポリイミドを加えたOBL-CCDを引き続き開発し,大面積のBI-CCDの遮光技術を確立する。
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Research Products
(34 results)