2011 Fiscal Year Research-status Report
標準模型を超えた物理に基づく宇宙の物質の生成と密度揺らぎの形成に関する研究
Project/Area Number |
23740206
|
Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
粕谷 伸太 神奈川大学, 理学部, 准教授 (00386806)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | 宇宙のバリオン数 / 暗黒物質 / 密度揺らぎ |
Research Abstract |
本研究は、素粒子の標準模型を超えた物理(特に超対称性理論)におけるスカラー場が、宇宙の物質・反物質非対称や暗黒物質の生成、および、宇宙の大規模構造の種となる密度揺らぎの形成に対して、どのように役立ち、影響するかを解明することを目指している。超対称性理論に注目するのは、LHCによって発見・解明の可能性が最もありそうだからである。具体的には、アフレック・ダイン場によるバリオン数と暗黒物質Qボールの生成において、バリオン、および、暗黒物質の等曲率揺らぎの観測的制限の検証、スカラー場のポテンシャルの形とQボールの性質の関係の解明、Qボール形成に伴う重力波の観測可能性の検討、などを行う。また、超対称性アクシオン模型において、等曲率揺らぎスペクトルへの制限の検証、暗黒物質としてのアクシオンとその超対称性パートナーの可能性の追求、などを行う。 本年度の成果として、Qボールに崩壊によって宇宙のバリオン数と暗黒物質を同時に説明するシナリオの構築が挙げられる。超対称性の破れがゲージ場媒介である場合には、Qボールは安定であると思われてきたが、チャージQ(バリオン数)が十分小さい場合には、核子へ崩壊する。その際、グラビティーノへの崩壊は可能であるが、ニュートラリーノのように重く、その崩壊によって元素合成で作られた元素を破壊しかねない粒子には、運動学的にほとんど禁止されるように出来る。そのため、広いパラメータ領域で元素合成からの制限を回避できる。シナリオ自体がうまくいくこと重要だが、Qボールの崩壊モードを詳細に調べたことが大きな成果となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画にあった、ポテンシャルの形が場の大きさで変わるとき、Qボールがどのように変形していくのかを、数値的に解明するトピックに関して、ゲージ場媒介による超対称性の破れのモデルで考え、その形成されたQボールの性質の変化を解明することを目指し、大規模な格子計算を行っているが、最終的な結果には至っていないので。
|
Strategy for Future Research Activity |
Qボールに崩壊によって宇宙のバリオン数と暗黒物質を同時に説明するシナリオのうち、Qボールがアクシーノへ崩壊する場合を考える。これにより、アフレック・ダイン機構によるQボール宇宙論がどのように変更を受けるか、アクシオンモデルに対する制限等を調べる。また、引き続き、ポテンシャルの形が場の大きさで変わるとき、Qボールがどのように変形していくのかを、大規模な格子計算によって解明していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度からの研究成果の発表として、ポーランド、ドイツなどで行われる国際会議で発表する予定である。なお、実施状況報告書(収支状況報告書)の次年度使用額にある金額は、当初見込んでいた物品の金額の変化等によるもので、次年度の当初予算と合わせて、物品費の一部として使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)