2013 Fiscal Year Research-status Report
標準模型を超えた物理に基づく宇宙の物質の生成と密度揺らぎの形成に関する研究
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23740206
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
粕谷 伸太 神奈川大学, 理学部, 准教授 (00386806)
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Keywords | 暗黒物質 / バリオン数 / 超対称性 |
Research Abstract |
本研究は、素粒子の標準模型を超えた物理(特に超対称性理論)におけるスカラー場が、宇宙の物質・反物質非対称や暗黒物質の生成、および、宇宙の大規模構造の種となる密度揺らぎの形成に対して、どのように役立ち、影響するかを解明することを目指している。超対称性理論に注目するのは、LHCによって発見・解明の可能性が最もありそうだからである。具体的には、アフレック・ダイン場によるバリオン数と暗黒物質Qボールの生成において、バリオン、および、暗黒物質の等曲率揺らぎの観測的制限の検証、スカラー場のポテンシャルの形とQボールの性質の関係の解明、Qボール形成に伴う重力波の観測可能性の検討、などを行う。また、超対称性アクシオン模型において、等曲率揺らぎスペクトルへの制限の検証、暗黒物質としてのアクシオンとその超対称性パートナーの可能性の追求、などを行う。 本年度の成果として、アフレック・ダイン機構においてQボール自体が暗黒物質になるシナリオの再考が挙げられる。単一のアフレック・ダイン場からQボールを形成し、熱浴との相互作用によって、バリオン数を作るというモデルは、観測的に排除されることを示した。その上、超対称性の破れがゲージ場媒介のモデルにおいて、2つのアフレック・ダイン場によって、1つはゲージ場媒介型のQボールを形成し、最終的には崩壊することによって宇宙のバリオン数を説明し、もう1つが新型のQボールを形成し、核子への崩壊に対して安定となり、宇宙の暗黒物質を説明するシナリオを構築した。また、このQボール暗黒物質は、将来、拡張版IceCube型の観測での検出可能性を議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2つのアフレック・ダイン場による2つのタイプのQボールによって、宇宙の暗黒物質とバリオン数を同時に説明するシナリオに関して、論文執筆中にアフレック・ダイン機構に関する新たな知見が得られた。また、研究計画にあった、ポテンシャルの形が場の大きさで変わるとき、Qボールがどのように変形していくのかを、数値的に解明するトピックに関して、ゲージ場媒介による超対称性の破れのモデルで考え、その形成されたQボールの性質の変化を解明することを目指し、大規模な格子計算を行っているが、最終的な結果には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
アフレック・ダイン機構は超対称性理論上で構築されているが、素粒子物理学の知見から得られる様々な枠組みの中で機構がうまく働くか良く分かっていない。一例として、レプトンのフレーバーを説明するような離散的な対称性の枠組みでどのように働くかの精査を引き続き行う予定である。また、これも引き続き、ポテンシャルの形が場の大きさで変わるとき、Qボールがどのように変形していくのかを、大規模な格子計算によって解明していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実施状況報告書(収支状況報告書)の次年度使用額にある金額は、当初見込んでいた物品の金額の変化等による。 本研究の最終年度でもあり、当該年度も含め、今までの研究成果の発表として、ドイツにて行われる国際会議を含め、国内外で行われる学会や国際会議で発表する予定である。なお、実施状況報告書(収支状況報告書)の次年度使用額にある金額は、次年度の当初予算と合わせて、物品費の一部として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)