2013 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノ質量とレプトン混合を記述する新物理模型の現象論
Project/Area Number |
23740210
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
杉山 弘晃 京都産業大学, 益川塾, 博士研究員 (50548724)
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Keywords | ニュートリノ / ニュートリノ質量 / ヒッグス粒子 / レプトンフレーバー / 素粒子論 |
Research Abstract |
ニュートリノ質量が他のフェルミオン質量の値と大きく異なる理由として、ニュートリノ専用のヒッグス2重項を導入する新物理模型が存在する。この模型にスカラー暗黒物質候補を導入し、なおかつその暗黒物質候補を活用することによって、ニュートリノ専用ヒッグス場の真空期待値が1ループで生成される機構を与えた。ニュートリノ質量用の真空期待値が抑制されていることにより、ニュートリノ質量の抑制が自然に説明される。また、このような拡張によって、元の模型と異なる実験的シグナルがもたらされ得るかどうかも探究し、LHC実験におけるシグナルの一例を提示した。 新ヒッグス場の真空期待値によってニュートリノ質量を生成するような新物理模型においては、荷電ヒッグス粒子のレプトンへの崩壊パターンが非常に密接にニュートリノ質量行列と関連している。ニュートリノ質量行列に関しては、近年のニュートリノ振動観測実験の成功によって、それまで未決定であった1-3混合角の値が明らかになっている。このような新たな知見が、上記の荷電ヒッグス粒子の崩壊パターンにどのような影響を与えているかを精査した。特に、電子への崩壊分岐比の理論的下限値は1-3混合角の測定成功を受けて上昇していることがわかり、この崩壊モードの観測可能性が改善されたことを明らかにした。また、電子への崩壊とミューオンへの崩壊の比を測定できれば、ニュートリノ質量行列に関する情報を引き出せ得ることも明確にした。
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