2011 Fiscal Year Research-status Report
3次元らせん軌道ビーム入射のためのパルス状磁場発生装置の開発
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23740216
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
飯沼 裕美 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (60446515)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | らせん軌道入射 / 軸対称パルス磁場 / 高電流キッカーコイル |
Research Abstract |
3次元らせん軌道入射ビームの、回転軸方向のビーム運動制御の為のキッカーシステムテストベンチを構築した。これは、進行方向に偏極したミューオンを3テスラの磁場中での歳差運動の精密測定実験実現に不可欠な実験実用性確認試験の最初のステップである。ソレノイド軸方向のミューオンビームの運動を制御するためのキッカーコイルを実機サイズで作成し、高電圧電源、大電流源と接続し、キッカーコイルに流れる電流を計測するシステムを立ち上げた。現在、電流分布の時間形状を設計値に近付けるために、大電流源の回路に用いるコンデンサ、抵抗値等のパラメータを調整中である。 実機サイズのキッカーシステムを動かすことにより、電源周辺ノイズや、大電流源内部の放電問題が明らかになった。特にキッカーコイルがアンテナとなり、周辺に電磁波ノイズをまき散らす問題は早急に解決する必要があり、電磁波ノイズの空間・時間分布や遮蔽方法についてもシミュレーションや、現場での試行錯誤の検討を進めている。 一方、入射ビーム軌道計算方法を確立し、ビームの中心軌道並びに、ビームの空間分布・運動量分布のより具体的なシミュレーションが結果を得た。このビームパラメータ結果をインプットとして、キッカーコイルが作る磁場分布の空間的・時間的要求を決定するシミュレーション作業も進めている。その結果を受けて、要求される磁場分布形状を満足するようなコイル配置を試す。さまざまなコイル配置を試すための可動式サポート冶具の設置は、既に完了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実機サイズのキッカーコイルシステムのテストベンチを立ち上げて、大電流源回路のパラメータ調整や、電源周辺のノイズ対策が進んだ。大電流源からのパルス電流形状は設計通りのものを実現している。初年度(H23年度)の計画は順調に消化している。 パルス電流により励磁される、パルス磁場の計測用プローブの作成、読み出し用測定器の設計・調達についても、もう少し前倒しで進めるのがベストだが設計作業・必要物品の調査を目下進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度の課題としては、初年度に作成した、キッカーコイルおよび可動サポートシステムを駆使してコイルの空間配置をいろいろ試し、励磁磁場分布の相関を理解する。更に、コイル素材・断面積形状を変えて、励磁されるパルス磁場の空間分布の影響を調査し、シミュレーションで求めた入射ビームからの要求を満足するような磁場分布を実現する、コイルの空間配置、コイル素材、断面形状の3パラメータを決定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24、25年度も引き続き本研究課題に関わる補助事業期間なので当該研究費を使用する。又、H23年度の未使用額(繰り越し)については、当初購入を予定していた測定装置よりもグレードの高い物を購入することとしたため、H23年度分の一部を繰り越し、H24年度に購入する。具体的な項目は以下の通り:(1) キッカーコイルの素材を比較検討するために、複数の素材、異なる断面形状のコイルを購入する。(2) 励磁されたパルス磁場を計測する為の回転コイルを複数配置するために、プローブを追加購入する。(3) 研究実績の概要で述べたように、当初の予想よりもキッカーコイルから発生する電磁波ノイズの影響が大きいので、適当な遮蔽用の板、或いはカーテンを購入する。
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