2011 Fiscal Year Research-status Report
モンテカルロ法による局所場精密計算システムの開発研究
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23740218
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
阿部 哲郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (70370070)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | フローティング・ランダムウォーク / モンテカルロ / 局所場 / 電磁場 / 加速器 / 高電界 / 数値計算 |
Research Abstract |
高電界高周波加速構造の内表面には必ず微細欠陥(機械加工によるバリ、接合面の不完全さから生じるギャップ、結晶構造由来の表面起伏等)が存在し、そこでの局所的電磁場の増大(増大係数)が加速性能を劣化させる主要な要因と成り得る。しかし、空間離散化に基づく従来の方法(有限差分法や有限要素法)では、そのような増大係数を計算することが困難であり、計算出来たとしても、計算精度を評価出来ない。フローティング・ランダムウォーク型モンテカルロ法では、空間離散化が必要なく、また、確率・統計的な手法であるため計算精度の評価が可能である。さらに、モンテカルロ法であることにより高い並列化効率が期待出来、アルゴリズム自体も単純なため、GPUアクセラレータに適している。当該年度においては、静的な場における局所場の精密計算をGPU上で行うための計算コードをCUDA Fortranで作成し、GPUボード2枚搭載の計算機サーバー1台構成にて性能試験を行った。コードの検証として、無限にシャープなエッジを持つ形状に対する解析的な厳密解との比較を行い、10mmオーダーのサイズの空洞内の1μmサイズのエッジに対するフィールドを精密に計算可能であることを示した。また、期待した計算速度と並列化効率を得られることがわかった。さらに、実際の物理モデルに対する高精度の計算から、空間離散化を要する従来の方法の限界を超えた計算も行えることを確認した。応用として、高電界加速構造の設計において、新しい視点を与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
局所場を計算するフローティング・ランダムウォーク型モンテカルロの計算コードの作成、そのGPU上での動作試験、及び、実際の物理モデルを用いた性能試験を行い、本研究の基幹部分を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
計算機サーバー2台構成(イーサネット接続)での高速化性能試験を行う。その他、Importanceサンプリングの導入等のアルゴリズム改善に取り組む。また、時間変動する高周波電磁場への拡張を行い、高周波の場合に問題となる表面電流の表皮効果の第一原理計算手法の確立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計算機サーバー2台構成を構築するため、計算機サーバー1台とGPUボード2枚を購入する。当初の計画では、当該年度に購入した計算機サーバーは次年度購入予定のものより高スペックとする予定であったが、次年度購入予定のものを高スペックとすることに変更したため、当該年度に未使用額が発生した。当該未使用額は、次年度購入予定の計算機サーバーの高スペック化のために使用する。
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Research Products
(2 results)