2012 Fiscal Year Annual Research Report
革新的アラームシステムを基軸とした大型加速器用超高可用性ビーム運転システムの開発
Project/Area Number |
23740222
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
佐藤 政則 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (90353367)
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Keywords | 加速器 / 線形加速器 / フィードバック / アラームシステム / ビーム制御 |
Research Abstract |
加速器ビーム運転に関するソフトウェア技術は,計算機科学の発展にともない大幅な進歩を遂げたと言えるが,近年のビーム運転システムは,ILCに代表される超大型加速器の運転にそのまま適用できるレベルとは言い難い。大規模加速器では,その制御対象点数の多さから,単純な機器故障に起因しないビーム変動の抑制が困難である。これらの理由から,次世代先端加速器のビーム運転効率を最大限に高めるためには,従来の水準を凌駕する新しいビーム運転システムが不可欠である。このため,本研究では,「革新的アラームシステム」を基盤とした”先進的ビーム運転システム”の開発を目指している。 平成24年度は,前年度に引き続き「革新的アラームシステム」の開発を中心におこなってきた。通常のアラームシステムでは,パラメーター毎の閾値を設定し,現在の測定値がそれらの範囲から外れた場合に,視覚的あるいは音声的にビーム運転者へ注意を喚起する目的で使用されている。本研究で開発を目指しているものは,膨大な運転パラメーター間の相関解析演算処理を高速におこない,アラームひいてはビームフィードバックに用いるための,大規模パラメーターに対応した高速データマイニングシステムである。 具体的には,加速器制御システムの標準フレームワークであるEPICS環境を高速相関解析サーバ計算機上に構築し,高エネルギー加速器研究機構電子陽電子入射器におけるビーム運転パラメーターのデータロギング試験をおこなった。その結果,入射器のビーム位置,電荷量,及び高周波位相情報等の同期計測を実現した。マシンスタディー時間の制約上,実運転パラメーターを用いた試験は十分に達成できなかったが,アラームアルゴリズムを更に精査及び改良し,近日中のシステム完成を目指している。また,本システムを基盤としたビームフィードバック試験をおこない,大規模加速器への応用可能性を検証する予定である。
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