2013 Fiscal Year Annual Research Report
素粒子・宇宙・物性・数理物理の位相的側面に関する研究
Project/Area Number |
23740226
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
衛藤 稔 山形大学, 理学部, 准教授 (50595361)
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Keywords | 素粒子物理学 / 位相的ソリトン / 国際研究者交流 チェコ / 国際情報交換 イタリア / 国際情報交換 イスラエル / 分野横断型研究 / 対称性の自発的破れ |
Research Abstract |
本研究の目的は「素粒子・原子核・宇宙・物性・数理物理の全てに共通する対称性の性質に着目し,特に位相的ソリトン(位相欠陥)を通じて様々なエネルギースケールの物理現象を分野横断的な新しい視点から理解し,かつ新手法を開発しまた新分野を切り開く」ことである。研究最終年度の研究結果は以下の8点である。 1) 非可換ゲージ理論におけるインスタントンとBPS non-Abelian渦の解析解の導出 2) 中性子星内部のドメインウォールの発現による中性子星の強磁性化 3) 渦輪上のドメイン紐による新しい組紐ソリトンの発見 4) ドメインウォール上への非可換ゲージ場と物質場の局在化機構の発見とブレーンワールドシナリオの動的構成 5) 多成分冷却原子気体中の多成分渦分子の構成 6) 内部構造を持つ準安定な宇宙紐のダイナミクスと不安定性に関する研究 7) 高密度QCDにおける様々なソリトンに関する研究 8) カイラル対称性および軸性U(1)の破れに伴うnon-Abelian 渦とドメインウォールの安定性 上記4),8)は素粒子分野,2),7)は原子核分野,6)は宇宙分野,5)は物性分野,1),3)は数理物理分野に属する研究であり,本研究の目的に挙げた「素粒子・原子核・宇宙・物性・数理物理」の全分野が確実に網羅されている。個々の研究対象は全く異なるエネルギースケールの物理現象であるが,対称性及び位相的ソリトンに着目したことで本研究が可能となった。この新しい,特に位相的ソリトンを主軸とした,視点によるアプローチによってこれまで専門化が進み,ともすれば断絶的だった各分野を横断的に理解することが可能であることを示すことが出来たのが本研究の最大の成果である。本研究期間内に学会等で素粒子-原子核、素粒子-物性のシンポジウムでの招待講演を通じ、本研究テーマの可能性について分野を超えた交流をはかることが出来きた。
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