2013 Fiscal Year Annual Research Report
ドメインウォールフェルミオンによる超対称ヤンミルズ理論の動的シミュレーション
Project/Area Number |
23740227
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
ENDRES MICHAEL 独立行政法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 国際特別研究員 (80598160)
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Keywords | 格子ゲージ理論 / 超対称性 / シミュレーション |
Research Abstract |
フェルミオン系の多体相関関数を素朴に計算すると数値計算のコストはフェルミ粒子の数に対して指数的に増加する。土井琢身と私は、この計算コストを劇的に減らす全く新しいアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムでは計算コストはフェルミ粒子の数の多項式として振る舞う。この研究成果は、原子核物理を第一原理から研究する際の主な障害の一つを取り除き、格子QCDの分野に重要な進展を与えた。 フェルミ粒子の数値的研究における別の大きな問題は、符号問題である。この問題を避ける一つの方法は、分配関数に対する(しばしば双対な変数で書かれた)別の表示を見いだすことである。私は、空間が一次元の場合の非相対論的フェルミ粒子に適したこの種の定式化を開発した。さらにこの定式化を用いて、引力的4体点相互作用を持つ4成分フェルミ粒子系を解析した。この系は相互作用を微調整することでコンフォーマル不変性を獲得する。系のエネルギーは同じ密度での自由気体のエネルギーに比例し、この比例定数はBertschパラメターとして知られる次元を持たない普遍的な数である。私は、このパラメターの値を上記の方法で決定し、それが3次元のユニタリーフェルミ気体に対する類似のパラメターの値と1%の統計誤差の範囲内で一致することを見いだした。この結果は驚くべきもので、異なった次元の時空で定義された共形場の理論の間にある双対性を強く示唆している。 最後に、鈴木博、杉野文彦、黒木経秀との共同研究として、0次元の二重井戸型超対称行列模型の性質を解析した。この模型は2次元IIA型超弦理論との対応から関心が持たれるものである。我々は行列模型の自由エネルギーを極めて高い精度で数値的に計算し、超対称性が自発的に破れることを示した。この行列模型側での超対称性の破れは、対応する超弦理論側での時空超対称性の破れを意味する。
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Research Products
(5 results)