2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740236
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
横山 毅人 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (30578216)
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Keywords | トポロジカル絶縁体 |
Research Abstract |
近年発見されたトポロジカル絶縁体は従来知られているバンド絶縁体とトポロジカルな意味で異なる状態として注目を集めている。その特徴は時間反転対称性を破らない摂動に対してロバストな表面状態の存在であり、表面の電子は低エネルギーでDirac方程式に従うことが知られている。Dirac方程式に従う電子の運動量とスピンは結合しておりスピントロニクスへの応用が期待されている。 本研究では強磁性体とトポロジカル絶縁体を接合した系における電流誘起スピン拡散を調べた。強磁性体中のスピン密度とトポロジカル絶縁体の電荷密度の結合した拡散方程式を導出し、それを解くことでスピン蓄積と磁気抵抗を明らかにした。 トポロジカル絶縁体の表面電子のスピン構造に起因して強磁性体中のスピン拡散は磁化の向きに依存することがわかった。 また、強磁性体をトポロジカル絶縁体に2つ載せた系において巨大磁気抵抗効果を調べた。スピン偏極電流により巨大磁気抵抗効果を制御できることが分かった。有効的な電気化学ポテンシャルを導入してこの性質を直感的に説明する方法も提案した。 さらに、シリセンに強磁性体を接合した系におけるバレー輸送及びスピン輸送を調べた。バレーとスピン自由度の結合の結果、電流はバレー偏極及びスピン偏極しており、ゲート電極により制御できることがわかった。特に、外部電場により完全バレー偏極及び完全スピン偏極した電流が生成可能であることが分かった。完全バレー偏極及び完全スピン偏極電流生成の条件も明らかにした。また、スピンコンダクタンスおよびバレーコンダクタンスは強磁性領域の長さの関数をして振動することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
強磁性体とトポロジカル絶縁体を接合した系における拡散方程式を導出し、新しい知見を得ることができた。シリセンを用いた新しいスピントロ二クスデバイスの提案にも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
トポロジカル絶縁体の電流誘起磁壁移動の研究を行う。 最近、申請者はトポロジカル絶縁体の表面電子と結合した磁化の従う運動方程式(Landau-Lifshitz-Gilbert方程式)を導出した。この方程式を用いトポロジカル絶縁体に磁化のドメイン構造がある場合の電流誘起磁壁移動を調べる。 申請者が導出したLandau-Lifshitz-Gilbert方程式を数値的に解き、電流下でのドメイン構造のダイナミクスを調べる。また、いくつかの極限下でこの方程式の解析解も見つけ磁壁のダイナミクスを議論する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
効率よく使用することができたため。 旅費として使用。
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Research Products
(8 results)