2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23740250
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柳澤 達也 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10456353)
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Keywords | 重い電子系 / 隠れた秩序 / 超音波測定 / 弾性定数 / 四極子感受率 / アクチノイド / 国際研究者交流:ドイツ / 国際研究者交流:米国 |
Research Abstract |
本研究計画遂行中に,URu_2Si_2の隠れた秩序の候補として複数の理論提案が発表された.特に平成23年に楠瀬-播磨によって提案されたxy(x^2-y^2)型の反強電気十六極子秩序模型と,Thalmeier-瀧本によって提案された(yz, zx)混合型の電気四極子模型では、然るべき弾性応答の面内磁場方向依存性が予想される。それらを検証する為には等方的に圧力を加える静水圧下実験よりも,強磁場下で弾性定数の磁場方向依存性を測定する方が優先順位が高いと考え,平成24年6月と12月の二度に分けてドレスデン強磁場センターに於いて最大磁場68.7 Tのロングパルス磁場を用いたURu_2Si_2の超音波測定を行った.その結果,[100]と[110]軸方向に68.7 Tの磁場を印加した場合,その間の異方性は測定精度内で観測されなかったので,4回対称性の破れに関する情報は得られなかった.一方,[001]軸方向に磁場を印加した場合, 隠れた秩序が崩壊する35-39 Tの多段メタ磁性転移近傍で,弾性定数(C_11-C_12)/2は階段状の異常を示しつつ, 61.8 Tまで約 1%増大することがわかった.その変化量は零磁場下の温度変化において120 K付近から最低温度までに生じる緩やかな弾性定数の減少(ソフト化)の大きさとほぼ一致する. (C_11-C_12)/2モードは対称性を低下させるΓ_3対称性の方晶歪み(x^2-y^2)に対応することから,URu_2Si_2の弱磁場・低温領域ではΓ_3対称性の格子不安定性を伴ったc-f 混成による重い電子状態が形成されており,磁化測定等との比較から,高磁場領域ではその混成が切れ,同時に格子不安定性も消失していることがわかった.
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Research Products
(6 results)