2012 Fiscal Year Annual Research Report
ディラック電子系に対するトンネル分光法の開発と適用
Project/Area Number |
23740255
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
近藤 隆祐 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (60302824)
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Keywords | トポロジカル絶縁体 / 有機導体 / ディラック電子系 / トンネル分光 / トポロジカル超伝導体 |
Research Abstract |
本研究は、傾いたディラック・コーン型の電子系を持つ擬二次元有機導体α-(BEDT-TTF)2I3と表面にスピン・軌道相互作用を起源とするディラック電子系を持つトポロジカル絶縁体Bi2Se3に対して、ポイントコンタクト法を用いて、磁場下トンネル分光測定法を開発・適用することにより、それぞれの物質のディラック電子系の特徴を明らかにすることを目的とした。初年度はBi2Se3のキャリア制御された良質試料を作成することに注力し、二年次である今年度は、①それぞれの物質系に対しての適切なトンネル接合の開発と測定、②Cu原子をインターカレートしたBi2Se3(以下、CuxBi2Se3)を再現性良く作る合成方法の確立、を行なった。 ①α-(BEDT-TTF)2I3とBi2Se3に対してポイントコンタクト法によって作成したトンネル接合を変調分光法で観測した結果、高電圧印加時に、接合の破損、または、その性質が大きく変化する現象が見られた。得られた結果の内、電子系の性質を反映した部分について検討の必要があると共に、安定性の高い接合を再現性良く作ることが今後の課題である。 ②トポロジカル超伝導体であることが期待されている、CuxBi2Se3は、その最初の報告時から超伝導分率の低いことが指摘されており、良質試料の製法の確立が望まれている。電気化学的にCuをインターカレートし、良質試料を作る方法も報告されているが、こちらの方法も再現性は高くない。研究代表者は、初年度の、キャリア制御されたBi2Se3試料の作成法の確立時に得られた知見を生かして、この超伝導体の良質試料の作成が難しい理由とmelt-growth法による試料作成法の限界、を明らかにした。改良された作成法を用いれば、仕込み組成xが広い範囲(X=0.03-0.5)で、超伝導を示す試料が得られることを示した。
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Research Products
(7 results)