2012 Fiscal Year Research-status Report
ネオジム化合物に現れる強力な非幾何学的フラストレーション効果の解明
Project/Area Number |
23740265
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
綿貫 竜太 横浜国立大学, 工学研究院, 特別研究教員 (30396808)
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Keywords | 4f電子系 / 多極子 / マクロ物性測定 / 中性子回折 / 平均場計算 |
Research Abstract |
常磁性状態における非容易軸方向成分(ab面内成分)が高温で独立に秩序化している特異な成分分離および部分成分秩序を示すNdB4, NdCu2Si2およびNdCu2Ge2について24年度は以下のような研究成果を得た。 NdB4は11Bにエンリッチした大型単結晶をFZ法により作成することに成功した。また、この単結晶を用いてJ-PARCにて単結晶中性子回折実験を行った。また、米国オークリッジ国立研究所のHFIRにて粉末中性子回折実験を行った。また、平均場近似を用いた帯磁率のシミュレーションを行った。粉末中性子実験結果からNdB4に現れる中間温度II相での磁気散乱の大きさが非常に小さく、これから期待される磁気双極子の大きさが3価のNdイオンから予想される理論値3.27μBよりも非常に小さい0.45μB程度であり、普通の反強磁性秩序ではないことがわかった。また平均場計算の結果、および中性子回折実験結果の解析から、ab面内方向成分の第一秩序変数が{Tαx, Tαy}であり、{Tαx, Tαy}型が強く効いてるであろう反強八極子相互作用によって相転移が引き起こされ、{Jx, Jy}は第二秩序変数として取り扱うべきであり、ことを明らかにした。 NdCu2Si2およびNdCu2Ge2については、単結晶の育成を引き上げ法により行い、帯磁率測定を行った。また、平均場計算によるシミュレーションを行った。これら物質でもこれまで反強磁性転移と思われてきた相転移が、八極子相互作用により引き起こされるTαz型の反強八極子秩序転移である可能性が高いことを明らかにした。また、中性子回折実験や共鳴X線散乱実験により第一秩序変数が双極子か八極子なのかを決定できることを提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
24年度は概ね計画通りに進行でき、中性子回折と平均場近似による理論計算の部分で申請時の計画以上に進展があった。昨年度東海村の原子炉が停止してしまって出来なかった中性子回折実験を、別途J-PARCと米国オークリッジ国立研究所にて行うことができ、遅れを取り戻すだけでなくかなりの進展があった。また、理論計算ではプログラムのパラメータ設定を様々に動かせるようカスタマイズできたため、相当量の条件下での計算結果を得ることができ、期待以上に理解が進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は、前半に共鳴X線回折実験を行い反強八極子秩序の証拠固めを行う。また、NdCu2Si2の超音波計測による弾性定数測定を行いたい。これらの成果を論文にまとめる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(11 results)
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[Presentation] NdB4の弾性特性
Author(s)
近藤賢志,楠本俊明,綿貫竜太,鈴木和也,森孝雄A
Organizer
日本物理学会 2012年秋季大会
Place of Presentation
横浜国立大学常盤台キャンパス
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