2012 Fiscal Year Annual Research Report
パルス強磁場中電子輸送現象測定による鉄系超伝導体の量子化磁束の研究
Project/Area Number |
23740272
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木田 孝則 大阪大学, 極限量子科学研究センター, 助教 (50452412)
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Keywords | パルス強磁場 / ネルンスト効果 |
Research Abstract |
本研究では,鉄系超伝導体の量子化磁束の振る舞いについて熱磁気効果(特にネルンスト効果)測定の手法を用いてアプローチするためにパルス強磁場中熱磁気効果測定装置を開発することを目的とした。ネルンスト電圧は磁場と垂直方向に温度勾配をつけた際に生じる起電力であるので,本研究で開発する熱磁気効果測定装置の核は,パルス強磁場中での正確な温度計測にあるといえる。特に導体試料では,パルス磁場発生に伴う渦電流により試料が発熱する可能性があるため,試料形状を工夫して渦電流の影響を極力小さくして,且つ測定中の温度勾配を一定に保つ必要がある。 本研究では,まず測定用プローブの作製から実施した。その先端部分は,熱浴となる熱伝導率の良いサファイア基板,試料をマウントするエポキシ樹脂およびヒーターとなる小型のフィルム上ストレインゲージで構成される。温度勾配は当初極低温用熱電対を用いて計測する予定であったが,適切な熱電対の入手が困難であったため,試料の両端に市販のチップ型セルノックス温度センサーを取り付けて温度測定を行った。パルス磁場の測定には,サファイア基板付近に取り付けたピックアップコイルを用いて行い,50テスラまでの正確な磁場測定を可能にした。測定システムは,スコープコーダ DL850(横河メータ&インスツルメント社製),ローノイズ電圧アンプ(シグナルリカバリー社製)および既設の測定機器を組み合わせ,GPIBを介した測定プログラムを作成した。この測定システムを用いて,鉄系超伝導体の熱輸送現象の測定には至らなかったが,比較的大きな熱起電力を示す半金属のビスマスのパルス磁場中輸送測定に成功した。
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Research Products
(10 results)