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2011 Fiscal Year Research-status Report

トポロジカル超伝導体の核磁気共鳴研究

Research Project

Project/Area Number 23740273
Research InstitutionOkayama University

Principal Investigator

岩瀬 文達  岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (30512868)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords超伝導 / トポロジカル超伝導 / トポロジカル絶縁体 / 核磁気共鳴
Research Abstract

CuxBi2Se3は、ギャップレスな表面状態を持つ絶縁体すなわちトポロジカル絶縁体Bi2Se3に対してCuをドープすること(電子ドープ)によって超伝導を示す物質である。この物質はマヨラナコーン型の表面分散を持つトポロジカル超伝導と考えられており、表面状態にはマヨラナ粒子が存在することや特異なバルク状態など、新奇な物理が存在していると指摘されている。本研究では核磁気共鳴実験(NMR)によって、トポロジカルな性質や超伝導対称性を議論する意義のある研究である。 まず、液体ヘリウムの使用量が少なく定常磁場状態を長時間保つことができるNMR装置を立ち上げ、専用の低周波用プローブを完成させた。続いて純良な単結晶試料CuxBi2Se3を用いて63Cu, 209Bi, 77Seの NMR信号を見出した。これは物質を構成するすべての元素についてのNMRが可能となったことを意味しており大きな前進となった。ドープされたCuは、レイヤーを形成しているBi2Se3層間にインターカレートされているとされているが、63Cu NMR緩和率の温度依存性を詳細に測定した結果、Cuサイトにおいては絶縁的なふるまいをしており電気伝導に寄与していないことが明らかとなった。つまり、Cuは電子ドナーとしての役割を担っており超伝導に寄与しないことを意味する。続いて209Bi, 77Se NMR緩和率を測定したところ、Bi2Se3 は金属的であり超伝導が発現する母体となることが明らかになった。またこのことは77Seスペクトル幅と緩和率のドープ量依存性からも明確に示すことができた。77Se NMR緩和率を12Tの高磁場下の実験によって精密な測定を行った結果、系が本質的に分布していることが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

純良な試料を大阪大学安藤陽一教授のグループから提供を受け、63Cu および209Bi NMRを行った。その結果、常伝導状態においてBi2Se3層が伝導電子を担っていること、Cuはドーパントであり超伝導電子を担っていないことを明らかにすることができ、当初の計画を達成した。さらに高分解能NMR用の低周波プローブを製作し13T程度の高磁場にて信号を取得することに成功した。次年度以降で詳細なスペクトルを測定するために必要な高磁場用のNMRプローブを新たに製作した。超伝導状態研究のために希釈冷凍機用の温度コントローラを導入した。

Strategy for Future Research Activity

これまでの研究から、常伝導状態のふるまいがおおむね明らかになったものの77Se NMRスペクトルの詳細およびスピン-格子緩和率の分布の起源が明らかになっておらず問題点として残された。今後の研究で正確な77Se NMRスペクトルを取得するために高磁場において測定することを計画している。超伝導を担う電子はCuインターカレートによるものと考えられているが、詳細な測定によってCuがBiに置換することによる効果を検出でいる可能性がある。スペクトルと緩和率の測定を組み合わせることで電子状態の詳細を明らかにする計画である。さらに低磁場低温における予備的な実験では超伝導転移が観測できていない問題がある。これは系が分布しているため超伝導体積が非常に小さいためだと考えられる。この問題を解決するためにも次年度に77Se NMRスペクトルの詳細な構造を明らかにする必要がある。続いて超伝導と思われる状態に狙いを絞って極低温において超伝導状態を調べる計画である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

極低温での実験が必須なため、物品費でヘリウム寒剤代を計上する。国際会議に参加することを予定しており旅費を計上している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 2011

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] トポロジカル超伝導体CuxBi2Se3の低温電子状態2012

    • Author(s)
      岩瀬文達、鄭 国慶、Y.S. Hor、M. Kriener、瀬川耕司、Z. Ren、安藤陽一
    • Organizer
      物理学会2012春第67回年次大会
    • Place of Presentation
      関西学院大学
    • Year and Date
      2012年3月26日
  • [Presentation] トポロジカル超伝導体CuxBi2Se3における常伝導状態:Cu, Bi, Se-NMR2011

    • Author(s)
      岩瀬文達,李政,鄭国慶,M. Kriener,瀬川耕司,Z. Ren,安藤陽一
    • Organizer
      日本物理学会2011年秋季大会
    • Place of Presentation
      富山大学五福キャンパス
    • Year and Date
      2011年9月23日
  • [Presentation] NMR study of possible topological superconductors CuxBi2Se32011

    • Author(s)
      岩瀬文達、鄭 国慶、Y. S. Hor、M. Kriener、瀬川耕司、Z. Ren、安藤陽一
    • Organizer
      「対称性の破れた凝縮系におけるトポロジカル量子現象」 第2回領域研究会(招待講演)
    • Place of Presentation
      岡山大学創立50周年記念館
    • Year and Date
      2011年12月18日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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