2013 Fiscal Year Research-status Report
変分モンテカルロ法によるf電子系の価数揺らぎと有効質量の研究
Project/Area Number |
23740282
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
久保 勝規 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 副主任研究員 (50391272)
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Keywords | 重い電子系 / リフシッツ転移 / フェルミ面 / 強磁性 / 強相関電子系 / 物性理論 |
Research Abstract |
本研究では、重い電子系を記述する典型的な模型の一つである周期アンダーソンモデルについて、グッツヴィラー型の変分波動関数を用いて基底状態、特に磁性状態が磁場や圧力によってどのように変化するかを調べている。 本年度前半までは、変分波動関数での物理量の期待値を計算する際に、グッツヴィラー近似と呼ばれる近似手法を用いて、強磁性状態を調べた。その結果、磁場や圧力によって磁化の大きさが変化するが、それに伴いフェルミ面のトポロジーも強磁性相内で変化することがわかった。常磁性状態や磁化の小さい強磁性状態では大きいフェルミ面の状態になっているが、磁化の値が大きくなると片方のスピンバンドのみがフェルミ面をもつハーフメタル状態になり、磁化がさらに大きくなると小さいフェルミ面の状態が現れる。このフェルミ面のトポロジーが変化する相転移はリフシッツ転移と呼ばれるが、本研究で見いだした磁性の変化を伴うリフシッツ転移では、パラメーターによって相転移の次数が一次にも二次にもなることがわかった。また、この転移点近傍で有効質量が増大することも示した。 本年度後半からは、グッツヴィラー近似を用いずに物理量の期待値をモンテカルロ法で計算する、変分モンテカルロ法の計算プログラムを開発している。変分波動関数を仮定する以外の近似を導入しないために、より信頼性の高い結果を得ることができる。次年度ではこの手法を用いて反強磁性状態を含めた磁性状態を調べる計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グッツヴィラー近似法を用いて周期アンダーソンモデルを調べ、強磁性相内でフェルミ面のトポロジーが変わる相転移があることを見いだした。より近似の少ない手法として、変分モンテカルロ法による数値計算プログラムを開発中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在開発している変分モンテカルロ法による数値計算プログラムを用いて、より精度の高い計算をおこなう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は関係する国際会議が国内で開催されたため旅費が抑えられたため。 主に、成果発表のための国内外出張の旅費として使用する。
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Research Products
(5 results)