2013 Fiscal Year Annual Research Report
グリーン関数法を用いた励起状態の高精度かつ大規模全電子第一原理計算手法の開発
Project/Area Number |
23740288
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野口 良史 東京大学, 物性研究所, 助教 (60450293)
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Keywords | 計算科学 / 物性理論 |
Research Abstract |
研究計画書に従い本課題では、全電子混合基底法プログラムに実装されたGW+Bethe-Salpeter法を超大規模並列計算向けにプログラムコードの開発を行った。その際には、プログラム構造を抜本的に見直し、今後のプログラム開発を容易にするためにプログラムコードのスリム化なども徹底的に行った。これらの作業を行った結果、Fujitsu FX10スーパーコンピュータ上で測定したベンチマークテストで1536MPI並列実行時に約97%の並列効率(weak scalingで測定時)を達成することが出来るようになった。高効率で大規模な並列計算が可能になったことにより、およそ150原子程度の系を本手法で取り扱う事が出来るようになった。 本課題で超大規模並列計算向けに開発した全電子混合基底法プログラムを用いた応用計算も行った。CdSeクラスターの光吸収スペクトル計算を行い、実験のスペクトルと詳細な比較を行うと共に、励起子の波動関数を調査し、電子-ホール間のクーロン相互作用の影響を可視化した。また本プログラムを有機太陽電池のアクセプター分子として期待されているLi+内包フラーレンへ適応し、その光吸収スペクトルを計算した。孤立フラーレンの計算結果などと比較を行い、内包されたLi+はフラーレン内に点電荷として存在し、フラーレンを安定化させる役割を果たしているもののその電子状態には影響を与えないことを確認した。いずれの計算も実験のスペクトルをよく再現できており本手法の有用性を確かめることが出来た。
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