2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23740298
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
桂 法称 学習院大学, 理学部, 准教授 (80534594)
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Keywords | 強相関電子系 / 物性基礎論 / 数理物理 / 記号計算 |
Research Abstract |
相関の強い量子多体系に対して、数理物理的な観点からアプローチし研究を行った。本年度の主な成果として、以下の3つに関するものが挙げられる。(1)格子上のRydberg原子系の励起ギャップ, (2)平坦バンドを有するBose-Hubbard模型におけるWigner結晶状態および朝永-Luttinger液体相, (3)スピンレスフェルミオン系とハードコアボゾン系の基底状態エネルギーの比較。 (1)Lesanovskyにより提案された一次元光格子上のRydberg原子系の有効模型は、パラメタ―をうまく選ぶと、基底状態が厳密に求まり、またいくつかの励起状態が得られることが知られていた。このことから、この模型の可解な場合にはギャップがあると考えられていたが、そのことを第一励起状態をあらわに求めることなく不等式を用いた手法により厳密に証明した。 (2)フェルミオン系に対するHubbard模型では、この模型のホッピング項が平坦なバンドを有する場合に強磁性基底状態が実現する場合があることが知られている。本研究では、同様のホッピング項を持つ梯子上の(スピン自由度を持たない)Bose-Hubbard模型の基底状態の性質を調べ、平坦バンドの占有数に応じてi)Wigner結晶相, ii)ボゾンのペアの朝永-Luttinger液体相, iii)両者の共存相, が実現することを明らかにした。 (3)相互作用のない場合に、全く同じ「運動項」を持つ同粒子数のボゾン系とフェルミオン系の基底状態エネルギーを比較した場合、統計性から前者の方が後者より必ず低くなる。この結果は相互作用が導入されても、ホッピング項にフラストレーションが存在しない場合にはやはり成立することを証明した。一方で、フラストレーションがある場合には、この基底状態エネルギーの大小関係が破れる場合があることを、具体的な例を構成することにより示した。
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