2011 Fiscal Year Research-status Report
浸液透光法-PTV法を用いた高速剪断場の懸濁液内部構造その場観察手法の開発
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23740304
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
西浦 泰介 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 研究員 (60509719)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | レオロジー / 可視化 / 懸濁液 / 微粒子 |
Research Abstract |
固体微粒子懸濁液の粘度と懸濁液内の粒子構造との関係を明らかにすることは,材料のレオロジー特性を制御する上で重要である.本目的を達成するためには,固体微粒子懸濁液内部の粒子構造が,懸濁液のせん断速度や粒子濃度によって変化していく過程を可視化する実験装置の構築が必要である.本実験を成功させるためには,高速にせん断されている懸濁液内部の任意断面における粒子構造を,他の位置に存在する粒子の干渉を防ぎながら顕微鏡レンズで拡大して高速動画撮影することが必要となる.そこで,浸液透光法の原理を利用して懸濁液内部の可視化を阻害する他の粒子の存在を透明化する方法を採用する.そのためにまず,互いに屈折率が近い液体と微粒子の選定を行った.その結果,アルミナ粒子とブロモナフタレンおよびカーギルオイル,ガラスビーズとメチルペンタノールの屈折率の近い組み合わせを見つけた.次に,高速に動く懸濁液内の微粒子の動きを撮影可能にするために,高速度カメラにマイクロスコープレンズを装着し,10ミクロン程度の粒子を一秒当たり5000フレームで撮影できるようにした.さらに,任意断面の粒子構造を撮影するために,ピントを0.1ミクロン単位で移動できるようにカメラに微動ステージを装着した.しかし,このままでは粒子が透明化しているため,粒子構造を可視化することができない.そこで,PIV測定で用いられる蛍光粒子を用いて,懸濁液内の流体部分と粒子部分を判定することにした.蛍光粒子が発する光の強度はレーザーの出力に大きく依存するが,本研究予算では大出力のレーザーは購入できない.そこで,マイクロスコープレンズの感度を上げるために,焦点距離が20mmの広角レンズと200mmの望遠レンズの互いのレンズ先端を接合することで好感度なマクロレンズを作成した.以上,当該年度は実験装置のシステム構築および実験試料の選定を主に行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
浸液透光法に必要な実験試料の選定は予定通り行えた.しかし,当初の予算金額で購入を予定していたPIV計測に用いるレーザーの出力では蛍光粒子の発光強度が低く,可視化が困難であったため,マクロレンズの明るさを改善し,ローパスフィルターの設置による蛍光粒子の視認性の改善を行った.以上より当初の計画より光学系に工夫を要する箇所が幾つか有ったが.概ね計画通り実験システムの構築を行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,これまでの研究で構築した可視化実験システムを用いて,回転粘度測定装置に透明のサンプル容器を取り付け,実際にせん断流動下にある懸濁液の内部構造と粘度変化を測定する.特に,粒子濃度とせん断速度を変化させた時の,非ニュートン的なレオロジー挙動と懸濁液内部の粒子構造変化の関係を明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
PIVに必要なレーザー光源を様々試験利用し、価格と性能のバランスを考えて研究目標を達成するために最も適したレーザー光源を選定購入する。また、レーザー光源の価格にもよるが、研究費に余裕が有る場合は、PIVの画像解析を高精度高速化するために画像解析ソフトの購入を検討する。その他、実験に必要な試薬および微粒子の購入を計画している。
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