2012 Fiscal Year Research-status Report
浸液透光法-PTV法を用いた高速剪断場の懸濁液内部構造その場観察手法の開発
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23740304
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
西浦 泰介 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 研究員 (60509719)
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Keywords | レオロジー / 可視化 / 懸濁液 / 微粒子 |
Research Abstract |
固体微粒子懸濁液の粘度と懸濁液内の粒子構造との関係を明らかにすることは,材料のレオロジー特性を制御する上で重要である.本目的を達成するためには,固体微粒子懸濁液内部の粒子構造が,懸濁液のせん断速度や粒子濃度によって変化していく過程を可視化する実験装置の構築が必要である. 本実験を成功させるためには,高速にせん断されている懸濁液内部の任意断面における粒子構造を,他の位置に存在する粒子の干渉を防ぎながら顕微鏡レンズで拡大して高速動画撮影することが必要となる.そこで,浸液透光法の原理を利用して懸濁液内部の可視化を阻害する他の粒子の存在を透明化する方法を採用する.そのためにまず,互いに屈折率が近い液体と微粒子の組み合わせとして,カーギルオイルとPMMA粒子を選定し,それらを混合した際に懸濁粒子が限りなく透明化する事を実際に確認した. 次に,PIVレーザー光が透過するように粘度計サンプル容器を透明アクリル製に改良した.その中に上記の懸濁液を入れて実際に粘度測定を行いながらサンプル容器側面にPIVレーザーを照射し,昨年度に製作した高感度マクロレンズと高速度カメラを用いてサンプル容器底面から流体流れの可視化を試みた.しかし,粒子が沈降して容器底面の粒子濃度が高くなると浸液透光法を用いても粒子が可視化の阻害をすることが確認された. 以上,当該年度は昨年度製作した実験装置を用いて,実際に高濃度懸濁液をせん断しながら流体流れの可視化を試み,実験開始初期段階において良好に流体流れを可視化することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度製作した実験装置と選定した試料を用いて可視化実験を予定通り行えた.しかし,実験時間の経過とともに固体粒子が容器底面に沈降して粒子濃度が高くなることで,浸液透光法を用いても固体粒子が可視化の阻害をすることが確認された.そのため,実験方法の再考および改良を余儀なくされたため当初の計画よりもやや遅れている.しかし,学会等に参加し情報収集および助言を得た事により解決の糸口は見えて来ており,得た情報をもとに実験方法の改良を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,これまでの予備実験により明らかになった長時間測定時における可視化不良の問題点を改善する.具体的には,サンプル容器に蒸留水を入れ,その上に固体微粒子を懸濁させたカーギルオイルを少量滴下する.そうすることで,水の上に膜の様に薄くなった状態の懸濁液を可視化対象とする事ができ,粒子の沈殿による可視化の阻害を限りなく小さく抑えることが可能と考えられる.その上で,せん断流動下にある懸濁液の内部構造と粘度変化を測定し,特に,粒子濃度とせん断速度を変化させた時の,非ニュートン的なレオロジー挙動と懸濁液内部の粒子構造変化の関係を明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
サンプル容器は繰り返し使用すると懸濁液のせん断流動によって摩耗し側壁が曇り可視化が困難になるため新しいサンプル容器を購入する予定である.また,研究成果の発表に必要な学会参加費・旅費および英文構成と論文投稿料に使用する.その他,実験に必要な試薬および微粒子の購入を計画している.
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