2012 Fiscal Year Annual Research Report
多価イオン照射による固体表面ナノ構造生成過程の研究
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23740306
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
大橋 隼人 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 研究員 (60596659)
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Keywords | 多価イオン衝突 / 固体表面 / 走査型トンネル顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究では電子ビームイオントラップを用いた低速多価イオン照射による固体表面ナノ微細構造の生成過程について,走査型トンネル顕微鏡(STM)による表面観察以外に放出X線及び電子エネルギー分析,磁場効果等の多角的分析研究を計画していたが,STMの故障による別STMの移設に伴う実験装置の制約の為,入射イオン価数及びポテンシャルエネルギー依存性,入射角度依存性に重点を置いた。 多価イオン照射による固体表面ナノ微細構造について,高配向性グラファイト(HOPG)を標的固体として,50~75価の多価Biイオンを照射した際に生成されるナノ微細構造の直径及び形状を調べる測定を行った。過去の報告では,50価程度ではHillock構造,73価ではクレーター状の衝突痕観測されており,その中間を補う目的の実験であったが,価数が大きくなるにつれナノ微細構造の直径は単調増加していき,形状の変化は70価と75価の間で起きていることを示唆する結果が得られた。 HOPG固体表面への多価イオン照射時に生成されるナノ微細構造の大きさは,イオンの価数に比例するという報告があり今回の結果はそれを支持するものであったが,ポテンシャルエネルギーの差による寄与を検証する為,50価の多価Iイオン照射による実験も行った。ポテンシャルエネルギーが50keV,100keVと倍違うにも関わらず,両者のナノ構造の直径は誤差範囲内で一致した。他の同価数異ポテンシャルエネルギー測定や誤差を小さくすることが今後の課題である。 HOPG固体表面への入射角度依存測定では,入射角60°の時に高低差非対称の楕円状の照射痕,入射角30°の時には1回のイオン衝突により2つの衝突痕が観測され,顕著な興味深い入射角度依存性を示唆する結果が得られたが,低解像度観測しか行えていない為,追実験による検証を行う。
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