2012 Fiscal Year Annual Research Report
ボース凝縮体を用いた複雑形状量子渦エンジニアリングとそのダイナミクスの実時間観測
Project/Area Number |
23740307
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
岸本 哲夫 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (70420239)
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Keywords | ボース・アインシュタイン凝縮 / 量子エレクトロニクス / 極低温量子ダイナミクス |
Research Abstract |
複雑な形状の量子渦の生成や量子渦間の相互作用を再現性よく観測するためには、任意の位置とタイミングに複数の量子渦を再現性よく描き込む方法の確立が重要となる。そこで、制御された量子渦(対)の描き込み方法の一つとして、光双極子ポテンシャルを移動させて量子渦(対)を複数生成する方法を考え、共同研究先で理論的にその実現性が検討された。その際、その光双極子ポテンシャルの移動速度に依存して量子渦の出射速度を制御可能なことが理論的に予測できたため、再現性よく別々に生成された量子渦間の相対速度を制御することで、それらの間の相互作用やダイナミクスなどを観測できる可能性を示せた。また、複数の量子渦を生成する際には大きいBECの方が扱いやすいため、より効率的に大きなBEC生成を行いたい。そこで、より多くの極低温原子をより効率的に光双極子トラップする必要があるため、光双極子トラップ中でのサブドップラー冷却へ向けた技術構築を行った。通常の780nm[5S1/2→5P3/2遷移]光によるレーザー冷却の場合は、冷却光の周波数や磁場勾配、リポンプ光の強度などを時間的に操作することで~100μKのサブドップラー温度となり、光双極子トラップ可能な温度を得る。これに対して、6P3/2を用いた遷移(420nm)の場合、自然幅が1/3-1/4程度狭いため、この波長で定常的なMOTを構成するだけで、~100μK以下の温度の達成が期待される。そこで、飽和吸収分光法を用いて光双極子トラップ光による5S1/2→6P3/2遷移のACシュタルクシフト量を観測し、そのシフト量の光双極子トラップの波長に対する依存性を調べた。今後、観測結果から光双極子トラップ中での420nm光のよるレーザー冷却に最適な光双極子トラップ光の波長を同定する。さらにこの冷却法を用いてより効率的に大きなBEC生成し、そのBEC中で複数の量子渦生成を目指す。
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