2012 Fiscal Year Research-status Report
相分離ベシクルの張力誘起構造転移と単分子膜結合挙動
Project/Area Number |
23740316
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
濱田 勉 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 准教授 (40432140)
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Keywords | 相分離 / 脂質膜 / ナノ粒子 / ベシクル / リポソーム |
Research Abstract |
生体系における膜ドメイン機能の物理機構を理解するため、相分離ベシクルとナノ粒子との相互作用解析を行った(J. Am. Chem. Soc. 2012)。細胞サイズの脂質ベシクルを作製し、直径50~1000 nmのポリスチレンナノ粒子との相互作用を蛍光顕微鏡で観察した。粒子サイズ200nmを境に、小さい粒子はドメイン(秩序相)に、大きい粒子は周囲の非ドメイン領域(無秩序相)に選択的に吸着することを発見した。さらに、ナノ粒子吸着に伴う膜の自由エネルギーを計算し、サイズ依存的な粒子の分配挙動を説明する物理モデルの構築に成功した。生細胞膜において膜ドメインはエンドサイトーシス小胞を形成する場として考えられており、この実験結果は、小さいナノ粒子はドメインを介して細胞内に取り込まれやすい事を示唆している。 本成果は、近年開発が進んでいるナノサイズの物質の生体や人体に対する影響(ナノリスク)の客観的評価基準の確立に役立つことが期待できる。成果は、プレリリースされ、新聞に掲載された(北國新聞「ナノ粒子小さいほど細胞内へ」、北陸中日新聞「ナノ粒子小さいほど体へ」、日刊工業新聞「ナノ粒子細胞吸着の観察成功」)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の成果であるペプチドの膜作用(Soft Matter 2012)に加え、今年度はナノ粒子の膜作用を明らかにした(J. Am. Chem. Soc. 2012)。脂質膜ドメインの物質認識メカニズムの統一的理解に向けて着実に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、相分離ベシクルの張力依存性および、ナノ物質(ペプチド、ナノ粒子)相互作用に関する成果を得た。最終年度は、これまでの成果を統括するための研究を進める。先ずは、相分離構造の制御機構を詳細に調べるため、荷電脂質による静電効果を明らかにする。そして、ナノ物質としてDNAを用いて、相分離界面との相互作用を明らかにする。これにより、ペプチド、ナノ粒子(コロイド)、DNA(荷電性ポリマー)という様々なナノ物質の膜作用機構の知見を得ることが出来、統一的な物理モデルの構築に繋げる。さらに、膜とナノ物質のソフトマター複合系のダイナミクスの研究を行う。これらの成果を基に、エンドサイトーシス等の動的な細胞機能の基礎メカニズムの物理原理を提唱する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費(400,000円)は、ベシクル作製に必要な「脂質」、相互作用ナノ物質に対応する「核酸(DNA)、ナノ粒子」、および膜ドメインやナノ物質を可視化するための「蛍光標識試薬」等の試薬類、および顕微鏡システム最適化用の「顕微鏡光学部品」に使用する。 また、情報発信を円滑に行うため、研究成果学会発表(日本物理学会等)の旅費として、300,000円を使用する。 その他として、学術論文発表のための英文校閲費に、200,000円を使用する。
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Research Products
(38 results)
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[Journal Article] Antimicrobial activity and mechanism of action of a novel cationic α-helical dodecapeptide, a partial sequence of cyanate lyase from rice2013
Author(s)
Norihiro Takei, Nobuteru Takahashi, Tomohiro Takayanagi, Atsuo Ikeda, Kenji Hashimoto, Masahiro Takagi, Tsutomu Hamada, Eiichi Saitoh, Akihito Ochiai, Takaaki Tanaka, Masayuki Taniguchi
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Journal Title
Peptides
Volume: 42
Pages: 55-62
DOI
Peer Reviewed
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