2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23740326
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
谷川 享行 北海道大学, 低温科学研究所, 特任助教 (30422554)
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Keywords | 惑星形成・進化 / 衛星形成 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では、ガス惑星形成時に惑星周囲に存在し衛星系形成の母体となったと考えられている”周惑星円盤”の構造を明らかにし、衛星系形成過程の基礎を確立することを目標とした。その目標を達成するために、大きく分けると2点について実行した。 1つは原始惑星系円盤ガスが惑星へ向かってどのように降着するかの流れを高解像度の3次元数値流体シミュレーションを用いて明らかにした。数値流体シミュレーションには、多重格子法を用い、特に惑星近傍にて効果的に解像度を高める工夫を施した。その結果、周惑星円盤(惑星の周りに形成される主にガスからなる円盤)の形成過程およびその構造を詳細に明らかにした。特に、周惑星円盤への降着流は、従来考えられていたような円盤中心面からではなく、上空から円盤表面へ衝撃波を伴って高速で落下してくるガスが大半である事を明らかにした。 もう1つは、衛星の材料となる固体物質が原始惑星系円盤から周惑星円盤へ向かってどのように取り込まれるかを調べた。具体的には、上の高精度数値流体計算で得られたガス流からのガス抵抗を考慮しながら軌道シミュレーションを行い、固体物質が周惑星円盤へ取り込まれる率、および取り込まれた後に周惑星円盤中のどこに落ち着くかを調べた。その結果、例えば原始木星が最も活発にガス降着を行っている状況では、約10mサイズの固体天体の捕獲率が最も効率よく起こることを明らかにした。また周惑星円盤に固体天体が捕獲される位置は、天体サイズが大きいと周惑星円盤の内側(惑星近傍)でしか捕らえられないのに対し、サイズが小さいと周惑星円盤の外側でも捕獲可能である事を明らかにした。
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Research Products
(9 results)