2013 Fiscal Year Annual Research Report
| Project/Area Number |
23740327
|
|---|
| Research Institution | Tohoku University |
|---|
Principal Investigator |
山本 希 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30400229)
|
|---|
| Keywords | 火山 / 短波長不均質構造 / 火山構造探査 / 波動 / 散乱 |
|---|
| Research Abstract |
活火山浅部における短波長の構造不均質は，ダイク貫入や火道からの脱ガスといった火山性流体の挙動を支配するものであるが，その実態は解析手法の制約などによりいまだ明らかではない．そこで本研究では以下の高周波地震波を用いた解析・モデリングを行い，火山山浅部における短波長不均質(確率論的構造)をイメージングすることを目的とする．
平成25年度においては，3次元差分法を用いて，地震波トモグラフィによる先行研究で得られた大局的地震波速度構造に一様の短波長不均質性を重畳させ，観測波形の特徴を再現することを試みた．その結果，空間一様の不均質性を用いた場合，観測された非コヒーレント波群のエンベロープの特徴を説明することは難しく，火山山浅部に不均質性の局在が必要であることが明らかになった．
研究計画前半の平成23年度，24年度においては，これまで国内の主要な活火山において実施されてきた人工地震構造探査の稠密観測記録を用いて地震波エネルギー伝播の時空間分布を調べ，多重散乱モデルとのフィッテイングを通じてP波・S波間のモード変換・各モードの多重散乱を決定する散乱パラメータの定量化を行い，浅間山・阿蘇山・桜島・岩手山における観測記録を解析を通じて，8-16Hz帯におけるS波の平均自由行程が約1kmであり，またP-S変換が卓越することを明らかにしたが，これらの観測事実を説明するための波動場モデリングを行ったことで，研究期間全体を通じて，通常の地殻に比べて短波長不均質性が2桁近く強いことを示し，それらの成因が火山山浅部に局在した流体を含む亀裂の介在などによるものである可能性を明らかにできた．これらの結果は，火山構造・多様な火山現象の理解の新たな鍵となると考えられる．
|
