2012 Fiscal Year Annual Research Report
北海道下における島弧衝突過程とそれに伴う太平洋スラブの変形機構の解明
Project/Area Number |
23740329
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北 佐枝子 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), COEフェロー (10543449)
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Keywords | 国際情報交換 / 北海道 / 島弧-島弧衝突帯 / 地震波速度構造 / 内陸大地震 / 地震波減衰構造 / 造山運動 / 日高衝突帯 |
Research Abstract |
今年度は,前年度までに行った北海道日高地方下での地震波速度構造に対して,その解像度を確かめる為の研究活動を行った.解像度を確かめるための1つの手法であるチェッカーボードテストでは,本研究による速度イメージングが約10km程度の解像度を持つことを示した.さらに他2つの手法による解像度チェックも行うことにより,前年度までに得た結論が変わらないことを示した.すなわち①日高地方下で深部より深さ10km程度まで貫入する,特異な高速度異常域(マントル物質に相当)が存在すること,②その高速度異常域と地殻物質との境界は,地質境界もしくは衝上断層の深部延長上に存在し,うち2つは,同地域の大規模地震である1970年M6.7日高地震,1982年M7浦河沖地震の断層面に一致していることを確かめた.このようにして得られた成果は,前年度に投稿していた国際誌の論文(JGR)のリバイズ時に本文へ加筆することができた.なお,論文は今年度9月に受理された.今年度も国内外の研究協力者の所属する研究機関に出向き,研究打ち合わせを行うことが出来た.それにより,北海道日高地方下での岩石学と地震学との間の学際的な議論を深めることが出来た.また,国内外の共同研究者との議論により,地震波速度構造と同様に地下構造を示す値の1つである地震波減衰構造を当該地域で推定すれば,その推定結果からも上記のような地下異常構造の検出が期待されることがわかってきた.そこで,北海道下における減衰構造の推定についても研究を開始した.減衰構造の推定結果についての予備的な結果とその考察に対しては,本年度の米国地球物理学連合秋季大会にて発表を行った.それにより,国内外に対して本研究による成果をアピールすることが出来た.
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