2013 Fiscal Year Annual Research Report
フェーズフィールド法を用いたコンドリュールメルト結晶化過程の理論的解明
Project/Area Number |
23740330
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
三浦 均 名古屋市立大学, その他の研究科, 准教授 (50507910)
|
Keywords | コンドリュール / フェーズフィールド法 / 棒状カンラン石組織 / 急冷凝固 / 組成累帯構造 |
Research Abstract |
始原的な隕石に多く含まれるコンドリュールは,初期太陽系における固体物質進化の鍵を握っている。コンドリュールに見られる棒状カンラン石組織は,加熱溶融したコンドリュールが急冷凝固することで形成したと考えられているが,その素過程はほとんど解明されていない。本研究では,ケイ酸塩メルト内における鉱物形成ダイナミクスをフェーズフィールド法に基づいてモデル化し,GPUを用いた数値計算を行なうことで,棒状カンラン石組織の形成初期過程を再現することに成功した。多成分系メルト内でカンラン石結晶が成長する際,元素分配に伴って液相の化学組成に勾配が生じ,その結果固液界面形状が不安定化して多数の棒状カンラン石が平行に成長した。棒状カンラン石の平均間隔は冷却速度に依存しており,その傾向を外挿することで,コンドリュールに見られる棒状カンラン石組織の形成条件を推定した。その結果は,コンドリュール再現実験に基づく推定よりも2桁ほど速く冷却した可能性を示した。本成果は,棒状カンラン石組織の初期形成過程を理論的に再現した初めての成果である。また,斑状組織カンラン石のovergrowth層に見られる直線的組成累帯構造の成因は,上記で示したような急冷結晶化によって説明可能であることを初めて示した。本研究の意義は,従来実験的研究によって得られていたコンドリュールの冷却速度条件を理論的に導出できることを初めて示したことにより,コンドリュールメルト結晶化過程を実験的研究と理論的研究の両面から探求する足掛かりを築いた点である。
|
Research Products
(7 results)