2012 Fiscal Year Research-status Report
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23740333
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 拓人 東京大学, 地震研究所, 助教 (90435579)
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Keywords | 地震動 / 津波 / シミュレーション / 並列計算 |
Research Abstract |
昨年度までに開発された3次元コードを元に、更なる高性能チューニング、入力データとしての統合日本列島下不均質構造モデルの整備、および東北地方太平洋沖地震の詳細なシミュレーションを実施した。 3次元コードチューニングにおいては、相対的に速度の遅いメモリに負荷をかける一時配列の削除等の工夫を追加した。このことにより、「京」コンピュータ上にて計画段階での目標よりも大幅に高い約20%の実効性能を達成することに成功した。また、本研究で開発した計算コードが80,000CPUを超える規模においても有効に働くということが確認された。 また、地震調査研究推進本部より公表された長周期地震動予測地図2012年試作版の構造を採用し、本研究で開発した地震動・津波統合シミュレーションコードの入力とするための一連のツールを開発した。このことにより、日本列島および周辺領域の任意の場所を切り出して、地形・地盤構造・モホ面およびプレート境界等の3次元的不均質構造下での大規模地震・津波波動シミュレーションが実施可能な環境が整った。 これらを踏まえ、2011年東北地方太平洋沖地震の統合シミュレーションを実施した。強震観測記録とシミュレーションとの比較から本研究によるシミュレーションの妥当性が確認された。一方、海底での津波記録の再現性が充分でないこと、近地での観測波形振幅が過小評価になるなどの差異も明らかになってきた。これは震源過程研究において考慮されていないプレート境界の複雑な形状や海水がシミュレーションに含まれているためであると結論された。海底地形の影響については種々の広帯域地震波形に見られる特徴的記録とシミュレーションとの比較検討も実施した。 また、東北地方太平洋沖地震に伴い海底ケーブル観測網が新設されるとの決定に鑑み、海底ケーブル記録を用いたリアルタイム津波推定の実現可能性について予備的検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の本年度目標であった(1)三次元計算コードの完成および(2)日本列島下の3次元不均質構造モデルの構築がそれぞれきわめて順調に進み、翌年度目標であった3次元大規模シミュレーションの実施まで部分的に先取り実施することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度より実施を始めた東北地方太平洋沖地震の大規模シミュレーションとその結果に対する検討を継続実施する。また、計画立案時には想定されていなかった日本海溝海底地震津波観測網が構築されることになったため、当初計画よりもより稠密な海底観測網を想定したリアルタイム津波検知の実現可能性についてより詳細な検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として計算結果の表示および検討に必要な消耗品・成果発表用PCおよび成果発表用学会旅費に使用する。
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Research Products
(9 results)